社員の意識改革から
物流の魅力を広める

株式会社全国赤帽

さまざまな産業のラストワンマイル輸送を支える株式会社全国赤帽は、取り扱う商材の多様性と個人事業主ドライバーという柔軟な働き方を通じ、物流業界の深刻な課題である人手不足の解消に立ち向かっている。堀智徳代表は「社員の意識改革にも注力しながら物流業界の魅力とその重要性を広めたい」と意気込む。

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個人事業主ドライバーが集まるからこその意識改革

47都道府県に44の組合を置く軽運送業の協同組合組織である「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」を母体に、株式会社全国赤帽はグループ内の営業会社として事業を展開している。近年では流通加工など総合的な物流サービスも担っているが、事業の主軸は個人事業主である赤帽ドライバーに向け、軽運送の仕事をあっせんすることだ。「働いた分の報酬が得られるのはもちろんですが、時間に拘束されず自分で仕事が選べる。自由な働き方ができることから、個人事業主として赤帽ドライバーを選択する人も増えています」と堀代表が語るように、転職後の独立や夢の実現、介護との両立、副業など、赤帽ドライバーにはさまざまな背景があるという。

大手運送会社のドライバーとはやや異なる事情の個人事業主が集まる同社だからこそ、社員一人一人が目標を持ち、成長意欲を高めてほしいと、社員の意識改革にも積極的に取り組んでいる。堀代表は「今与えられた環境の中でどうすればいいのか。今あるものの中で、どうやって進めていくのか。新たな要素が必要なのであれば、自分の努力で作り出すといったような基本的な部分に強い意識を向け、明確なビジョンを持ってほしいと伝えています」と語る。型にはめず個性を尊重しながら、自由な発想を促す意識改革を通じ、モチベーション向上と会社への貢献を図っているという。

また、ドライバーや社員との信頼関係も大事にしている。堀代表は「社内外問わず、信頼関係を大切にすることが不可欠ですが、過度に近すぎる関係は情報の偏りなどのリスクにつながるので、適切な距離感を保つリスクマネジメントにも気をつけながら関係性を作るようにしています」と語り、特に個人事業主のドライバーに対しては他人と比較しないことを心がけているという。

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多種多様な配送からキャリアアップを

ドライバーの時間外労働制限、いわゆる2024年問題などで物流業界の人手不足はより深刻な課題となっている。堀代表は「赤帽だからこそ多様性や柔軟な働き方ができることを、若年層へアピールしたい」と意気込む。同社で配送を請け負う商材は、精密機器や医薬品、イベント機材、印刷物などから、一般的な宅配サービスでは配送できない貨物や危険物まで多種多様だ。堀代表は「特に医療機器などは、取り扱う商品に関しての知識がなければ、安全に輸送できません。幅広い商材を扱う当社では、さまざまな知識が得られる。物流を通して、知識や経験値を増やしてもらい、自分の道に進めば、キャリアアップの足掛かりにもなると考えています」とさまざまな業界の知識を吸収できることがメリットという。

日本初の軽貨物自動車による軽運送業の先駆け的存在として長い歴史を持つ同社だが、いまだ「赤帽ってどんな組織?」と聞かれることが多いという。堀代表は「運送業者だけど、おじさんとおばさんが2人でトラックに乗って、何をしているんだろうと思われたりするらしいんですね。皆さん、個人事業主なのでご夫婦でドライバーをしている人もいます。一言で物流ドライバーといっても、赤帽での働き方は皆さんがイメージするものとはちょっと異なるかもしれません。もっと深いところまで知っていただき、魅力を感じてもらい、我々の仲間になってもらいたい」と語る。

また、一般の個人事業主の団体と違い、協同組合という体制を整えているため、「安心して仕事に従事できる助け合い団体」という関係性も特徴の一つだ。最近では、日本三大祭り・神田祭に協賛し、赤い帽子がモチーフとなっているキャラクター「あかぼうくん」を活用したイベント出展の取り組みを通じて、認知度向上や参入促進を図っている。堀代表は「今後は物流事業の拡大と新たな事業分野への進出を視野に活動を広げていきたい思いもありますが、まずは我々赤帽を始めとする物流事業分野の魅力、そして物流の重要性を広く伝えていきたい」と力を込める。昨今、プラットフォーマーと称する委託業者を利用して業容を拡大する軽貨物事業者が増えるなか、全ての都道府県に軽貨物の実運送網を有する団体は赤帽だけ。この血の通った配送機能を様々な顧客に提供し、2024年問題の解消に寄与したい。

株式会社全国赤帽代表取締役

堀智徳

1972年、埼玉県出身。2002年全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会営業本部に入職。同連合会が新設した営業会社である赤帽物流株式会社へ転籍。2013年2月に現株式会社全国赤帽と所属していた赤帽物流株式会社が合併。2014年に取締役営業統括部部長に就任。2022年10月代表取締役に就任。

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