イメージを払拭し
占いで日本を元気に

「占い」と聞くと「最終的には物品販売や勧誘が目的なのでは？」と不安を抱くことが少なくない。しかし、同社が最も大切にしているのは「安心安全」と「信頼感」だ。所属する鑑定師は、手相やカード、生年月日を使うなど、東洋・西洋の占術を深く学び、熟練した専門家ばかり。鎌田代表は「鑑定師の『質の担保』に力を入れることで、お客様に寄り添った占いを提供できる。物品の販売や勧誘を最終ゴールにすることはなく、『占ってもらって本当によかった』『次回は友達を連れてきます』と言ってもらえることを目指しています」と語る。

このような理念を掲げる同社が日本で一番有名な占い館になれば、「不安を感じるもの」という占いのイメージを払拭（ふっしょく）できる。そう考える鎌田代表は、元々金融業界の出身だ。メガバンクに勤務していた時代、コンプライアンスや誠実さを徹底する企業文化が自らの基礎を築いたと振り返る。「当時は『誠実でいましょう』という言葉で1日をスタートする日々でした。元から真面目に生きてきたタイプでしたが、それが間違いはあっても、嘘はいけないという風土の中で、さらに拍車がかかった」と明かす。

その後、M&Aコンサルタントを経て、その先のキャリアを思案する中で同社の前代表と出会い、事業継承の話が出た。占いには全く興味がなかったが、「断るにしても、きちんとした理由を作りたい」と、鎌田代表はさまざまな占い師の元を訪れた。他社の占い館の中には物品購入や高額な占いスクールへの入会を勧めたり、根拠なく霊からの言葉を伝えてきたりする鑑定師も存在し、「やっぱり占いは不安なもの」と思った。その一方で同社は10年以上に渡って物販や勧誘はＮＧというルールで占い師と契約し、お客様の人生を少しでも好転させるということだけにフォーカスする占いを提供していることを知り、その違いに勝機を感じたという。「占い業界のリーディングカンパニーと言われる会社も、当社のような真面目な占いを提供していない。だったら、“お客様ファースト”の真面目な占いを提供し続けることができれば日本一を目指せるのではないか、と考えました」と力を込める。

業界を正したい、という志と同時に、真面目に学んできた鑑定師に活躍の場を提供したい、という思いも強かった。鎌田代表は「長年、手相やカード、生年月日からの鑑定を学んできた方々が、もっと報われるべきだと感じています。霊感や霊能を用いる鑑定は再現性に乏しいという理由で、当社では採用していません。鑑定師に公的な資格がないからこそ、その質を担保することが何より重要だと考えています」と強調する。

代表就任後、業務改革にも積極的に取り組んだ。「前代表が高齢であったこともあり、アナログな部分が多く、管理コストが非常に高かった。それを改善しただけで、収益構造は大きく変わりました」と振り返り、インボイス制度の導入後、鑑定師への報酬バック率を減らす他社が多い中、当社では50％を維持。業界最高水準を誇っている。

また、同社では店舗づくりにも力を入れる。鑑定スペースはプライベート感を重視した半個室となっており、顧客がリラックスできるだけでなく、鑑定師も落ち着いて仕事をできる環境が整っている。さらに、すべての店舗が大手ショッピングセンター内に位置している点も特徴だ。「お客様への安心感はもちろん、鑑定師が胸を張って働ける場所にしたい」という思いが大きいというが、その結果、鑑定師の採用応募が増え、他社で人気の鑑定師が移籍するケースも多くなった。

鎌田代表が引き継いだ当初、12店舗だったものが、今は全国31店舗に広がった。今年の上半期は8店舗の新規オープンを予定しており、採用した鑑定師の育成など、フォロー体制も強化を目指す。鎌田代表は「現在はBtoCの事業が軌道に乗りつつありますが、個人に信頼をいただいた先には、BtoBの展開も視野に入れたい。会社の専属占い師ではないですが、産業医のような感覚で鑑定師がいてもいいのではないかと思い、実験的にいくつか実施したところ、好評だったので、実現する可能性も大きい。占いが社員の人生を少しでも好転させることができれば、それは企業にもメリットがあると思う。占いで日本を元気にする唯一の社会インフラになること。それが、最終目標です」と、今後の展望を語る。