【大学特集】
未来のテクノロジー分野で活躍する人材を

電気通信大学

国立の理工系大学である電気通信大学では、未来のデータサイエンティストたちを育てる「デザイン思考・データサイエンスプログラム(D×2=デンツー・プログラム)」を昨年からスタートさせ、AI(人工知能)教育にも力を入れている。田野俊一学長は「未来のテクノロジー分野で活躍する人材の育成に寄与する」と語る。

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AI教育分野でのリーダーシップを取る

今年から本格稼働している「デザイン思考・データサイエンスプログラム」は、デザイン思考とデータサイエンスを組み合わせ、学生たちに現実のデータを駆使した問題解決能力を身に付けてもらうものです。実際の業務経験が豊富な実務家教員が授業を行い、より実践的な知識を提供しています。このプログラムでは座学から学ぶだけでなく、実践的な経験を大切にし、国際的な機械学習・データサイエンスに携わっている人が集まるコミュニティー「Kaggle」のコンペティションへの参加や、海外へのインターンシップを奨励しており、実践的なスキルの向上を目指しています。

スモールスタートながら、学域生(学部生)の参加が増えていく予定で、学生たちがデータサイエンスの知識を実践で生かし、目指すは世界的なKaggleグランドマスターです。未来のグローバル社会のデータサイエンティストたちを育てるプログラムとして、今後の発展が期待されています。

また、多くの大学がAI教育に取り組む中、情報理工学域の「実践型UECデータサイエンティスト養成プログラム」は、AIの開発者と利用者の双方に焦点を当て、AIを作る人材とAIを使いこなす人材の両方を育成することを特徴としています。全国の大学が文部科学省に認定された類似のプログラムを展開していますが、その中でも国内で数少ない認定教育プログラム(応用基礎レベル)プラスの認定を受けています。

多岐にわたる活動や取り組みが高く評価され、AI教育分野でのリーダーシップが認められていることを示しています。AIに関する知識やスキルを総合的に身につけ、未来のテクノロジー分野で活躍する人材の育成に寄与しています。

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自己追求の道と社会貢献への信念

40年前、私が大学生の頃、AIはまだはやっていませんでしたが、研究室のメンバーとAIの勉強会を行い、時には飲みながら明け方まで議論していました。当時は情報通信や情報理論について正確に勉強していなかったものの、やりたいことを追求し、研究に没頭していました。

日立製作所に就職後、日立IEDと呼ばれる企業内の特別な教育コースに入り、1年半かけて情報理論や知能について本格的に学びました。この経験が今の私の基盤となり、AIの研究につながっています。自分自身が追い求めたことに対してコミットし、一つも逃さない姿勢が、今の私の方向性を形成したと感じています。皆さんにも、若い間に自分自身の中で何かを一つ追い求めていってみてほしいです。

日本人は、誰かを助けたいという気持ちが強く根付いていると思います。この気持ちを基に、自分のやりたいことを追及することで、より良い社会を築くことができると信じています。これから社会に出ていく皆さんにもこの気持ちを持って頑張ってほしいと思います。

電気通信大学学長

田野 俊一

宮崎県出身。1983年東工大院総合理工学研究科修士修了後、日立製作所入社。1996年電通大院情報システム学研究科助教授、2002年教授、2017年情報理工学研究科長、2020年から現職。工学博士。

https://www.uec.ac.jp/