【大学特集】
「未来への一歩を」

琉球大学

琉球大学には、湿潤な亜熱帯気候が広がり、特色ある自然や独自の文化を持つ沖縄の研究に最適な環境が整っている。西田睦学長は「未来への一歩を踏み出す重要性を伝えていきたい」と語る。

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自然と独自の生態系を学べる環境

琉球列島(南西諸島)にある琉球大学は、地域の特徴を最大限に生かした大学として知られています。自然環境に恵まれたこの地域は、亜熱帯気候と独自の生態系で知られ、大学ではこの特色を生かして多岐にわたる研究がなされています。学生たちは、世界自然遺産に登録されたやんばる地域や、西表島などの豊かな森林、マングローブ林、サンゴ礁などに直接触れて、琉球列島で独自の進化をしてきたさまざまな動植物のユニークな進化について学ぶことができます。琉球大学での学びは、単なる教科書の座学学習の範囲を超えた、実地での観察と体験が可能です。琉球大学には自然の中で学べる環境が整っています。

文化や言語、歴史や社会の課題が教育に根付いているのも本学の大きな特徴です。琉球王国の独自の文化や言語、歴史的な要素が生活に溶け込み、社会に根付いており、それらが大学の教育研究の土台として大切にされています。琉球大学での学びは、ただ知識を得るだけではなく、地域の自然・文化とその特色の深い理解を促し、豊かな人間性、そして社会課題の解決を目指す実践性を育んでくれます。

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「楽しくチャレンジ」「まず実行」

国立大学法人を取り巻く財政的な状況は厳しいものがあります。 このような中にあるからこそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて教育と学生支援、研究、医療、運営、そして働き方を大きく変革することを目指す「琉大トランスフォーメーション(RX)推進プロジェクト」を昨年度より開始しました。既に、さまざまな成果が得られつつあります。

例えば、これまで紙媒体で行っていた教職員の兼業手続は、手続を始めてから終わるまでに郵送期間を含めて2 か月かかることもありましたが、手続き自体を見直し、全面的に電子化したことで、手続きの圧倒的な簡素化、時間短縮(所要期間は1 週間程度へ)に成功しました。

また、本学病院が、「がん診療連携拠点病院」として取り組む県内の院内がん登録データの集計やベンチマーク分析を、電子化によって大幅に効率化し、加えて分析内容を更に充実させたことで、沖縄県の医療計画への活用など新たな可能性が広がりつつあります。

こうしたRX の取り組みを「楽しくチャレンジ」「まず実行」をモットーにして加速させるとともに、さまざまな工夫で大学の財政基盤の充実、強化を図っています。また、2024 年度末に西普天間地区に移転する本学医学部と病院を中核とする「沖縄健康医療拠点」の機能充実に取り組み、沖縄県内唯一の総合大学としての役割を積極的に果たしていくつもりです。

未来を担っていく皆さんにも、まずはチャレンジすることから始めてみてほしいです。世の中には面白いことが山のようにあります。さまざまな経験を積むことで、自分の強みや興味が明確になり、それに基づいて自分なりの役割を見つけることができます。置かれたところで自分の役割は必ず見えてきます。無駄な考えにとらわれず、前進することで、自身の新しい可能性を見つけてください。

最後に、未来への一歩を踏み出す中で困難や挫折はつきものです。それらを乗り越えていくことが成長の糧となります。前向きな気持ちを持ち続けて、今を精いっぱい生きてください。

琉球大学学長

西田睦

1947年、京都に生まれる。80年琉球大学理学部助手。93年福井県立大学生物資源学部助教授、96年同教授。 99年東京大学海洋研究所教授、2007年同所長。 12年東京大学名誉教授。 13年琉球大学理事・副学長、19年4月より現職。

https://www.u-ryukyu.ac.jp/