予防医療に注力し
医療のDX化を推進
千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック健診プラザ
消化器系の専門病院である筑波胃腸病院に加え、2024年4月に千葉県柏駅前に内視鏡検査を中心にしたクリニックを新たに開院した医療法人社団筑三会。疾患の早期発見の重要性を説く鈴木隆二理事長は、今後の医療を担う現役世代として予防医療の推進、医療のDX化。そして認知症患者への対応強化を推し進めたいと意気込む。
内視鏡検査の敷居を低く受診率を向上
消化器の疾患に関して一番重要なことは見つかるタイミングだと、鈴木理事長は予防医療の重要性を強調する。「疾患を発見後、我々ができることは手術しかない。ですが、例えばすい臓がんは発見しても手術可能な患者さんは全体の2割程度。手術が可能なうちに発見することが何よりも大事です。そのためにも、まずは内視鏡検査へのハードルを低くしたい」と話す。
今年4月に開院したばかりの「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック 健診プラザ」では、下剤の服用から検査までをシームレスに完結できるような仕組みを整えているほか、半個室やリカバリー室など患者に寄り添った工夫が多く見られるのが特徴だ。駅前という立地の良さも加わり、若い世代の受診率も高い。鈴木理事長は「筑波胃腸病院での内視鏡検査の平均年齢は大体70歳前後ですが、クリニックでは35歳くらい。内視鏡検査のハードルを低くするという意図は、ある程度達成できたのではないかと感じています」と語る。
予防医療につながる内視鏡検査の受診率向上を目指し、筑波胃腸病院に加え、新たにクリニックを開設した。鈴木理事長は「病院とクリニック。医療の側面として何が必要なのか。我々の力でどこまでできるのかを確かめたい。病床削減が進む中でクリニックが新しい形になるのではないか」という思いがスタートだったと話す。「クリニックに病院の機能だけ残していけば病床がなくても、今後の医療が成り立つのではないか、という期待がありましたが、あくまで病院が基盤であり、クリニックというのはもう一つの選択肢でした」とクリニックを開院したことで改めて病棟を持つ病院の安心感、その存在の必要性を実感したという。さらに「人的な問題はもちろん、病院であれば原因が分からない疾患に対して入院して調べるという選択ができる。病院とクリニック、両者のバランスが重要であり、今後はそれぞれの強みを生かした医療提供をしたい」と力を込める。
認知症予防と医療のDX化が今後の鍵に
予防医療とあわせ、今後は認知症患者への対応にも注力していきたいという思いも持つ鈴木理事長は「在宅介護となると家族の負担が大きい。病院が認知症患者の受け皿となる必要性もあるのではないか」と訴える。認知症の早期発見、その前段階となる軽度認知障害(MCI)といった領域にも手を広げ、困ったときには頼れる病院作りといった取り組みにも意欲を見せる。鈴木理事長は「認知症も予防の時代。どんどん検査を受けていただきたいですね。ゆくゆくはもう一つの法人で認知症に特化した予防医療ができるクリニックを開設したいと考えています」と語る。
それに伴い、医療のDX化も視野に入れている。鈴木理事長は現状、高齢の医療事業者の抵抗感が障害となっていることを挙げ、「医療業界の透明性。既得権益などもあるでしょう。そういったところを変えていけば、医療業界全体のDX化は進んでいくと考えています」と世代交代や改革の必要性を訴える。
予防医療と認知症患者への対応、そして医療のDX化。この3本を軸に、患者に寄り添った医療を提供してきたいと意気込むが、近い将来は急性期に対応できる病院はすべて国が管理するようになっていくのではないか、という懸念もあるという。「そうなったときに我々は何実ができるか。内視鏡や日帰り手術などクリニックでもできることに特化していく必要があるのではないかと考えています。かかりつけ医の機能を持ち、病院レベルの機器を備えた検査もできるクリニックがさらに必要になってくる時代になっていくのではないでしょうか」と語る。
「何か物事を言うときには、必ずその立場に立って考えたい」という思いから、検査はもちろん薬も服用できるものに関しては実際に自分が試してみてから提供している鈴木理事長。今後も患者の立場を意識した医療を提供することはもちろん、「自分たちができることを確実に実行することで、それが大きな輪となり、社会を取り巻く医療が風通しの良いものになれば」と医療業界の未来を見つめる。
千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡・日帰り手術クリニック健診プラザ理事長
鈴木隆二
筑波胃腸病院理事長。聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、筑波胃腸病院理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医。
http://www.tsukubaichou.com