【大学特集】
学修と研究による人材育成

豊田工業大学

トヨタ自動車の社会貢献活動の一環として設立された豊田工業大学。保立和夫学長は「学修と研究は人材育成の両輪」と語る。

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豊田工業大学の使命

豊田工業大学は、トヨタグループの始祖である豊田佐吉の遺訓「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」を建学の理念とし、現代社会の課題に率先して挑む実践的な技術者・研究者の育成と、先端的な工学研究を通じた新たな価値創造、その社会還元を使命としています。

1学部1学科で、1年次の入学定員は100人という小規模な工学系単科大学です。学部、修士、博士の学生数すべて合わせても約500人で、教員一人当たりの学生数は約10人と、国立大学並みの少人数教育を実現しています。学生各人の能力・個性に合わせた細やかな教育と担当教員からの密接な研究指導を受けることができる環境があります。

工学部先端工学基礎学科では、2年次前期までは全学生が工学基礎を含む共通科目を学び、2年次後期からは機械システム、電子情報、物質工学の3コースから一つを選択し専門性を深めます。現代の複雑な工学的課題解決に新たな可能性を切り拓くため、他コース科目の履修による副専攻認定制度を設け、理解を促す学修指導によって、論理的思考力や創造力などの汎用力の涵養にも工夫をしています。

また、語学と教養科目を修士課程まで設定し、学部での学外実習と海外語学研修や修士での海外研究実習にも力を入れるなど、学修と研究を両輪とする人材育成に取り組んでいます。

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学修を重ね成長することの大切さ

学生には「理学は真理と語らい、工学は社会と語らう」と伝えています。つまり工学は、その成果を社会で活用してほしいという「意思」を持った学問です。現代社会の課題解決に立ち向かう若者には、工学の専門的な能力に加え、論理的な思考力や説明力、チームで働くための協調性といった「汎用的な力」も必要です。
 
「学ぶ」とは「憶える」ことではなく、「理解」することです。つまり「結論に対応した理由を手繰り納得するまで考える」ことを学修の中で心がけることで、「理解」したと言える段階にまで到達してもらいたいと思います。ある分野体系での理解が束になると、それらを活用することができ、探究力と研究力が涵養され、やがて卒業研究へとつながります。さらに、理由を手繰ることの繰り返しは、汎用力としての「論理的思考力」も育ててくれます。

卒業研究や大学院での研究を進める中で、知識不足や経験不足に悩むことになると思います。その時は、苦労しつつ、理解へつながる学修を重ねてください。理解と苦労の経験の積み重ねが、自身を成長させ、自信や思いやりの心も養い、自分を前進させる元気や勇気のもとになると信じています。

学修と研究は人材育成の両輪と述べました。大学でのこれらの活動は、もちろん課外活動も含めて、皆さんが社会で活躍する上で役立つさまざまな力を育ててくれます。次代を担う皆さんには、社会人となってからも、学ぶこと、理解を深めることを続けていただきたいと願います。成長し続ける皆さんが、社会の活力となると思います。

豊田工業大学学長

保立和夫

1979年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了(工学博士)、同大学宇宙航空研究所専任講師。93年同大学先端科学技術研究センター教授、97年より大学院工学系研究科教授。2008〜10年の工学部長・工学系研究科長を経て、2015〜17年には理事・副学長を歴任。2017年に本学に副学長・教授として着任。2019年から現職。

https://www.toyota-ti.ac.jp/