広告の民主化に
挑戦するZ世代の
学生起業家

TOPICO株式会社

Z世代の圧倒的な支持を得ているTikTokを活用した新しい広告を展開するTOPICO株式会社。創業者の目戸晴登・代表取締役CEOと坂入啓介・取締役COOは現役大学生だ。2人は、一般人をクリエーターにして、広告の民主化を目指す。

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同じ目標を持つ二人の出会い

目戸代表は幼い頃、父の赴任先のタイでの経験が今につながっているという。「イギリスの学校に通ったのですが、アメリカやフランス、インドなどさまざまな国の子供が集まっていて、ちょっとぶっ飛んだ思考になったみたいで、その後も自分が普通と思っていることが、周りからは変わっているといわれる」と明かす。中学校の頃から自由な発想を実現できる起業に関心を持つようになった。

一方の坂入COOも大手メーカー勤務だった父の仕事で中国・広州で小学生時代を送った。現地ではものづくりの好きな父の影響で、ジャンク品の電子部品を組み立てるなどの経験をして、帰国後には高校がスーパーサイエンス指定校で、京都大と連携した課題研究にも参加した。「基礎科学の重要性を知ったのですが、社会実装につながることに興味を持った」といい、大学では理系を選ばなかった。

そんな二人は大学入学後すぐにベンチャーキャピタルやスタートアップ企業でのインターンを経験、ビジネスの感覚を磨いていた。そして運命の出会いは、大学の旅行サークルの会合だった。坂入COOは「共通の友人から『起業を考えている人がいて、絶対会った方がいい』と言われていて、たまたまその時席が隣りになったんですが、変なことばっかり言っているなと思った」と述懐するが、目戸代表は「逆のタイプだから良かったのかもしれません」と語る。コロナ禍で大学にも行けない中、起業という同じ目標を持つ二人はすぐに夢を語り合う仲になった。

ベンチャーキャピタルのインターンとして起業の基礎を学び、ビジネスアイデアを練っていたが、「元々エンタメをやりたかったので、最初は教科書を全部アニメ化したら、みたいなアイデアがあったのですが、技術や人手が足りずに挫折しました。TikTokの事務所がインターンを募集をしていて、広告をエンタメ化できるのでは、というアイデアが浮かんだ」と明かす。

インターン先でTikTokやインフルエンサーマーケティングの調査などを行いながら、スキルを磨き、ビジネスアイデアを練っていた二人は、多くのフォロワーを持つ一部のインフルエンサーではなく、一般人が作った思いもよらないようなコンテンツを生かすというアイデアにたどり着いた。

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“広告のエンタメ化”で人々の生活を変える

起業に向けて、ベンチャーキャピタルへのビジネスプランの“壁打ち”を繰り返していた二人は、偶然大学の講義に来ていたテレビプロデューサーに起業の相談を持ちかけた。目戸代表は「講義で熱い話をしてくれたのに感動して、アイデアを話すと、『面白い!』と言ってくれて、応援してくれることになりました」と振り返る。しっかりとした“大人”のバックアップを受けることになったおかげで、ベンチャーキャピタルの信用も得て、ついに起業を果たした。

TikTokのクリエーターを束ね、数多くの動画を配信して、拡散し、再生数に応じて報酬を支払うというモデルを確立した。

テレビ番組のプロモーションなどで実績を上げていった二人は、ユニークなコラボなどを展開していることでも知られる「パインアメ」のプロモーションでヒットを飛ばした。パインアメを題材に、複数のクリエーターが手品やコント、レシピなどさまざまなフォーマットで約50本の動画を制作。TikTokで展開したところ、当初の想定をはるかに上回る計2000万回以上の再生数を関連動画含めて記録した。

坂入COOは「仮説検証をしながらさまざまコンテンツを展開したけれど、意外なものがすごく再生数を稼いだりしている。こうしたデータを踏まえて、商品をお題にした動画が簡単にできあがるアプリを開発しています。それで誰もが広告に参加して、思わぬ報酬が得られるようになる」と語る。目戸代表も「広告を民主化して、誰もが好きな時間に好きな仕事ができるような世界をつくりたい」と前を見据える。未来を切り開くZ世代の起業家のこれからが楽しみだ。

TOPICO株式会社

目戸晴登/坂入啓介

<目戸晴登>2003年、広島県生まれ。中学生時代からビジネスに関心を持つ。2021年、中央大学に入学。2022年、TOPICO株式会社代表取締役CEOに就任。<坂入啓介>2001年、滋賀県生まれ。高校時代に京都大学と課題研究に参加。2021年、中央大学に入学。2022年、TOPICO株式会社を共同創業し、取締役COOに就任。

https://topico.co.jp/