【大学特集】
社会に立ち向かう覚悟を
拓殖大学
拓殖大学は、キャンパス内で多くの留学生と交流を持てる国際的な大学だ。鈴木昭一学長は多様な経験の重要性を語る。
グローバルな「拓殖人材」の育成
拓殖大学は、実学志向、すなわち社会に役立つ学問を重視し、「積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為の人材の育成」を建学の理念として創立した大学です。本学は、社会のさまざまな課題に対処し、国際的な視野から解決策を見つけるために理論と実践を結びつけた教育をしています。
多彩な人材を育てるために国際性、専門性、そして何よりも人間性を大切にしています。学生生活は、社会に出ていくための準備期間。国際性や専門性だけでなく社会性についても授業やゼミを通して培っています。学園祭等のイベントも学生たちの活躍の場であり、交流を育む重要な取り組みとして位置づけられています。専門科目の授業では外国人留学生と日本人の学生が共に学んでいます。さまざまな国・地域、特にASEAN圏からの留学生が多数在籍しています。日本人学生も短期研修・長期研修や交換留学を通じて国外で学び、素晴らしい成果を上げています。
本学では課外活動も活発に展開されています。教職員、学生が一丸となって取り組む「オレンジプロジェクト」は、国際的な視野を持ち、積極的にチャレンジしていくタフな人間力を身につけたグローバル人材「拓殖人材」の育成を目的とした取り組みの一貫であり、このプロジェクトではSDGs(持続可能な開発目標)などの問題にも取り組んでいます。
昨今の大規模災害や感染症の流行をはじめ、地域の安全・安心を脅かす懸念が増大しています。本学政経学部では2025年4月、現在の法律政治学科と経済学科に加えて、地域社会の安全・安心な暮らしに貢献できる人材の育成を目的とした新たな学科「社会安全学科(仮称)」を八王子国際キャンパスに設置構想中。同年には、将来のキャリアに向けた新カリキュラムも全学的に展開。国際社会で活躍する「拓殖人材」育成に向けて、まい進しています。
経験の重要性
私はいわゆる優等生ではありませんでした。
経済的に余裕はなかったため、大学に通う費用を捻出するため多くのアルバイトをしました。居酒屋や広告代理店で働き、長い休暇も取ることなく働いていました。大学4年間の学びを終えた後は、会計専門職を目指して大学院に進みました。会計士の道を目指して進んだ大学院の指導教授との出会いが、教育者としての道を切り拓くきっかけとなりました。その教授は誰に対しても分け隔てなく接してくれました。また、教員も大学院生も研究者としては同列に見てくれていました。常に議論を大切にしている素晴らしい方でした。
恩師の研究に対する情熱と、同時に趣味にも全力を注いでいるバランスの取れた姿にとても憧れ、将来の道を進む際には恩師と同じように人に寄り添い、アドバイスと共感を大切にできる人になりたいと思いました。
大学院生活では厳しい試練が待っており、まるで暗いトンネルの中でもがき苦しむような日々でしたが、同期たちの存在が強い心の支えとなりました。成果を上げるためには日々の積み重ねが必要で、自身の将来を切り拓くためにも最後まであきらめない覚悟が必要でした。今思い返しても、その時の覚悟は相当なものであったなと思います。
次世代を担う若者の皆さんにも、これから「覚悟」をする瞬間があると思います。成功に向けて重要なのは単に勉強だけではありません。多様な経験を積むことが重要です。社会の中では、時に答えのない課題に直面し、対処しなければならないことがあります。学生時代こそ経験を積んで、幅広い視野を持つチャンスです。さまざまな経験をして、社会に立ち向かっていく覚悟を持って歩んでいってください。
拓殖大学学長
鈴木昭一
1964年茨城県生まれ。1992年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程満期退学後、拓殖大学商学部助手。専任購師、助教授を経て2005年4月、教授に就任。商学部長、大学院商学研究科委員長、副学長を歴任し、2021年4月、学長就任。専門分野は国際会計、財務会計など。主な著書に「基本から学ぶ会計学」(中央経済社)、「プレステップ会計学」(弘文堂)など。
https://www.takushoku-u.ac.jp/