キャリアアップを
実現する働き方を

島田氏は、自社の業務を「プロフェッショナルの人材派遣」と表現する。同社には現在、約600名のコンサルタントが在籍し、そのほとんどがフリーランスだ。社員コンサルタントは30名程度で、日本法人設立から約20年コンサルタントの質の高さに定評があり、長期的な取引を続けるクライアントも多い。「チームを組み、提案書に基づいたコンサルタントを提供するのではなく、案件や希望に合わせ少人数のプロフェッショナル人材を適材適所に派遣するスタイルです。基本的にクライアントとは3カ月契約から始めますが、延長を繰り返し、結果的に2年以上続くケースも少なくありません。テクニカルスキルに加え、インターパーソナルスキルに優れたコンサルタントが多いのが当社の特徴です」と自信を見せる。

同社では、フリーランスであってもプロフェッショナルとしてのキャリアアップを目指せるような案件を紹介している。正社員では得難い経験やプロジェクトを通じ、確実にスキルを磨ける環境が整っている。そのため、社員としての雇用よりもフリーランス契約を選ぶ人材が多いという。島田氏は「社員だから優先するということはありません。それよりも、案件がない状態、いわゆるベンチに座る状態が長引く方がコストやモチベーションに影響します。そのため、できるだけ早く案件にアサインすることを心掛けています」と説明し、フリーランスでも安定して働ける点を強調する。

コンサルタントをアサインする際には、クライアントのカルチャーとコンサルタントの特性を十分考慮し、コンサルタントのキャリアアップになるかも配慮しています。「完全に両者が希望に合わない場合もありますが、クライアントの期待値コントロールは重要な情報です。当社は双方が快適に働ける環境を作るつなぎ役ですから」とクライアントとコンサルタントの相性を重視する姿勢が同社の強みだという。

また、派遣したコンサルタントがスカウトされるケースもある。同社での経験をキャリアの一部として生かしてほしいという島田氏は「転職には覚悟が必要ですが、まずは当社に登録して働いてみることで、高いレベルの仕事を経験できる。その後、同業他社への転職や役員を目指す道もあるでしょう。当社は、そうしたさまざまな可能性を提供したいと考えています」と意欲を見せる。

同社に所属するコンサルタントは30代から60代までと幅広く、特に50代が多い。シニア層の活躍も顕著だ。「コンサルタントは経験がものを言う仕事です。豊富な知識と経験を存分に活かしていただきたい」といい、シニア層の特性を「混沌とした状況を整理し、合意形成を進める力」と評する。

そういった矢面に立つ業務を外部に任せ、スムーズに業務を遂行することができれば、外部人材の活用例として評価が上がる可能性もある。島田氏は「そうなれば、別の部署でもシニア層のコンサルタントを活用したいという声が上がるのではないかと。実際に、そういった例も増えています」と語る。

業務において、一番の励みは「クライアントが喜んでくれること、そしてコンサルタントが良い機会に恵まれること」だという島田氏は、「コンサルタントとしては、案件ごとに業務を担い、自身のキャリアアップをかなえるというフリーランスでの働き方もあるということをもっと多くの方に知ってもらいたい」と意気込む。「シニア層あるいは経験不足の若手などクライアントの要望になかなか合わないコンサルタントも存在しますが、実現したいキャリアに沿った作業内容を限定すれば活躍できる。個々のコンサルタントにチャレンジかつスキルを醸成できる場を提供していくとともに、コミュニケ―ション能力やAI活用など、どの国でも価値を発揮できる人材育成が当社の目指すところです」と力強く語る。