人こそが企業の全て
社員最優先の経営を
株式会社オーシーエム
「家族大事です休暇」「クリぼっち休暇」などのユニークな特別休暇に加え、残業が少ない人や休暇取得率の高い人を表彰する「OCMアワード」などインパクトの強い福利厚生制度を持つオーシーエム。資格取得や外部トレーニングなどスキルアップをサポートする社内制度も充実しているが、エンジニアの経験を積んだ押田和浩・代表取締役社長の「人こそが企業の全て」という考えが元にあるという。押田社長に、その狙いを聞いた。
「クリぼっち休暇」?
ユニークな休暇制度も
オーシーエムは、プロジェクトごとに自社のエンジニアでチームを組み、客先に常駐する業務委託を軸にしたIT人材派遣を展開している。2022年に設立25周年を迎えるが、創業から20年ほどは社員数も少なく、取引企業も1社のみだったという。社員が高齢化したため、数年前からエンジニアを増やし、営業にも力を入れ始め、若手への世代交代を目指して、2021年には押田社長が就任した。「創業25年ですが、会社としてはまだ3、4年生」という押田社長は「人こそ企業の全て」をモットーに、”社員・エンジニアファースト”での社内環境の整備に注力している。
「社員の満足度が上がれば、生産性も向上し、顧客満足度にもつながるはず。最前線で働いているエンジニアたちが最高のパフォーマンスを出すためには、どうしたらいいのか。それを常に考えています」
社員のエンゲージメントを高める施策として、まず目を引くのがユニークなネーミングの特別休暇。「誕生日休暇」を始め、クリスマスを独りで過ごす社員を対象にした「クリぼっち休暇」や、清潔感を保つためのメインテナンスに使う「ビューティー休暇」、取引先との飲み会の翌日にゆっくりと出社できる「ついつい飲み過ぎちゃいます半休」など多岐にわたる。ほとんどが社員からの提案で実現化したものだというが、押田社長は「休むという心がけが大事」と笑顔を見せる。
「メリハリのある働き方をしてほしいし、居心地のいい会社でありたいと思います。住宅手当などもありますが、中には『薄毛手当』というものもあるんですよ。自分で薄くなったなと認めたうえで直訴してもらうんです。そういうものを言い出せる雰囲気の社内環境になってきたんだなと思うと、うれしくもあります。エンジニアは客先に常駐していることが多いので、定期的にフォローアップ面談や勉強会を行っています。福利厚生だけでなく、エンジニアのスキルアップのための社内制度が多いのも特徴です」
資格取得の支援、セミナーや外部研修の受講サポート、書籍購入に至るまで業務効率の向上につながるものは全て会社がバックアップし、エンジニアが成長するために必要なことは、会社として率先してやっていくという姿勢だ。過去にエンジニアとして働いた経験があるからこそ押田社長は「評価基準の明文化」にも力を入れている。「定量的な観点で全てを評価できるように。人が人を評価する一般的な評価制度ではなく、数値化できるもので客観的に評価することを大切にしたいと考えています」と強調する。
「よく働き、よく遊べ」が理念
さらに社員を増やしたいと、人材採用にも意欲を見せる押田社長だが、福利厚生や社内制度が一風変わっている同社では、中途採用の面接も異色だ。実際、「面接が楽しかったから」と入社を決意した社員もいるという。「エンジニアとしての経験値はもちろんですが、ヒューマンスキルやマインドの部分で、社風に合うかどうかも重要ですね。面接では必ずアイスブレークの時間を設けています。そこで笑ってくれるかどうかも大きなポイントです」と話す。
「よく働き、よく遊べ」というワークライフバランスの実現を企業理念に掲げている同社では、社員一人ひとりが成長意欲を持って行動することが会社全体を成長させ、社会貢献につながるという考えだ。「遊びができる人は仕事もできる。逆も然りだと思います。一般論とは違うかもしれませんが、当社の社員はみんなそういうスタンスでいてほしいと考えています。そのためには、賃金テーブルの部分のグレーゾーンをなくし、きちんと支払うべき報酬が受け取れるような環境も整えたい。普通は顧客ファーストなんでしょうけど、当社は全てが社員ファースト。エンジニアの思いが最優先ですから、客先で理不尽に稼働が多くなったときには引き上げたり、休ませたりするアクションを起こすこともあります」という。
今後は「ホワイト企業認定」取得を目指し、「より明確な社内ルールを整備したい」と語る押田社長。独自の制度で直近5年の退職者はわずか1名。退職後に起業するエンジニアも多い。休暇を多く取得した人や残業が少なかった人を表彰する「OCMアワード」を設立するなど、明るく挑戦的な企業風土を持つ同社なら理想の働き方がかなうだろう。
株式会社オーシーエム代表取締役社長
押田和浩
1979年、埼玉県出身。大手Sierなどでネットワークエンジニアとしての勤務を経て、2008年、父が創業したオーシーエムに入社。SEとして12年間勤めた後、2021年4月、代表取締役社長に就任。
https://ocm-net.co.jp/