〝マメさ〟が武器の
学生向け不動産会社
株式会社のうか不動産
金沢市で学生向けの賃貸物件を強みに持つ株式会社のうか不動産。“日本一マメな不動産屋”をモットーに、地域に密着したユニークな事業を展開する同社の苗加充彦代表は「他社にはできないことを続け、地域で一番を目指したい」と力を込める。
「人と違うことをしたい」
のうか不動産は、1989年の設立以降、地域に密着した経営を長く続けている。「面白いことをやりたい。それを常にずっと考えています。他社がまねできないことをしたい。学生向けの物件を主軸にしようなんて、普通は考えつかないでしょう」と語る苗加代表は、学生向けにターゲットを絞った賃貸物件のほか、不動産売買、不動産活用、テナント賃貸、法人賃貸の事業も展開している。さらに入居者を対象とした通学用無料シャトル「マメバス」の運行や、朝食を無料提供する「カフェ・ビーンズ」など、不動産会社の枠を超えた入居者向けサービスも提供している。「人と違うことをしたいとずっと考えてきました。“日本一マメな不動産屋”をモットーに、少しずつマメさをアピールできることを増やしていったら、お客さまにも喜んでもらえるようになった。それが社員のモチベーション、仕事の楽しさにもつながっています」と説明する。
モットーにちなんで、ロゴマークも「エンドウマメ」がモチーフとなっている。それは社員の「誠実さ」や「真面目さ」を象徴するものでもあるといい、苗加代表は「約束や時間を守ることなど、単純だけど実践できない人も少なくない。社員には、お客さまとの約束を忘れないように、という思いを込めてオリジナルの手帳とメモ帳を配布しています」と話す。
社員がお互いを紹介しあう他者紹介などが掲載されているオリジナル手帳は「会社に愛着を持ってほしい」と、7、8年前から毎年新たに制作して配布している。他にも社員旅行や金沢市周辺約40キロを歩くなど社員総出のイベントも極力開催するようにしている。
「結束力が強くなります。コロナ禍でそういったイベントができなかったときは、やっぱり雰囲気が変わったと感じていました。仕事はもちろん、そういったちょっとした遊び心みたいなものにも、“マメさ”を持ってほしい。それがひいては 、仕事へも還元されていくのではないかと考えています」と力を込める。すべて社員が企画するというイベントでは、取引先など他社との対抗戦になる運動会もあり、社内の取り組みが地域へも広がりつつある。
付加価値のある地域一番を目指して
金沢市で、21年に金沢市パートナーシップ宣誓制度がスタートしたことをきっかけに、同社でもLGBTフレンドリー宣言を提げた。当事者が部屋探しをする際、窮屈な思いをしなくても済むように取り組んでいる。「当事者に話を聞くと、パートナーと一緒に住みたいのに貸してもらえない、といった声もよく聞きます。まだハードルが高いなと感じることが多い。ひと昔前だと外国籍の方がそういった悩みを抱えていらっしゃいましたが、それと同じようにオーナーの方に当社の担当者からきちんと説明をして、理解をしてもらえるような取り組みを行っています」と語り、セミナー受講など社員の学習機会を増やしオーナーに理解を深めてもらえるようなアプローチも精力的に行っている。
苗加代表は、不動産業にもデジタル化の波が押し寄せていると指摘する。「リアルではなくネットでの内見で契約したり、契約書への印鑑が不要になったり。大きく変わっていると感じることも多い。だからこそ、何ごとにも真剣に取り組み、『のうか不動産だからこそできること』を続けて、広げていくことに注力したい」と語る。
「付加価値のあるサービスを提供し、お客さまの思いに積極的に向き合うことで生き残ることができるのではないかと思っています。特別なことをしなくても、今の“マメさ”を真面目にずっとやっていけば、いずれは地域一番になれる。それを信じて今後もお客さまのためになることを続けていきたい。地域になくてはならない会社だと思ってもらいたい」と力を込めた。
株式会社のうか不動産代表取締役
苗加充彦
1969年、石川県金沢市出身。1989年に父親が設立した有限会社 苗加商事に入社。2007年に株式会社 苗加不動産に社名を変更し、2008年に代表取締役に就任。
https://www.noka.co.jp/