患者さんのための
自問自答と尽力
医療法人社団三仁会 那須歯科医院
東京都足立区にある那須歯科医院。その技術力やサービスが地域に愛され、2010年の開院から10年で3医院を開院し、春には4医院目を開業する予定だ。「自分でも早いペースだなと思います。」という那須院長だが、経営に自信があるわけではないのだという。同医院が患者さんに愛される理由を深掘りした。
患者さんの希望を大事にしつつ最大の治療効果を発揮する着地点を
歯科の分野はとてもフィールドが広い。多種多様なニーズに応えるには、それだけの知識と技術を身につけなくてはならない。那須院長の新人時代は、ひたすら知識と技術の習得に励む日々だったという。
「歯科医師としての腕を磨いていかなくてはと、週のうちの数日を他の歯科医院に勤務しました。あの頃は本当に休み無しでしたね。三つの医院を掛け持ちしながら、とにかく知識を身につけたい、腕を磨きたいという一心で、毎日が修業でした。」と振り返る。
若い頃は、不安や自信のなさが、少しでも知識と技術を身につけようという行動に駆り立てたが、現在は「自分の知識や技術によって、患者さんが喜んでくれるという事実」が原動力になっているそうだ。「患者さんが喜んでくれるならば、まだまだ勉強を怠るわけにはいきません。」と語る。

医療というのは教科書通りにはいくものではない。何を最優先するかは患者さんごとに違う。ある人は「とにかく痛いのは嫌だ」と言い、また別の人は「きれいに仕上げてほしい」と言う。それを汲み取ることが歯科医の腕なのだという。患者さんの希望を大事にしつつ、最大の治療効果を発揮する着地点をいつも意識しているのだそうだ。
「まだまだ患者さんの声に応えられていないところもあると思いますが、それだけに自分に簡単にOKを出したくはないですね。本当にこれがベストなのか?という自問自答は、常に持っておくようにしています。」と語る。
職場環境の充実、向上が患者さんの喜びにもつながる
これまで脇目も振らずにやってきて、ようやく自分の将来像「なりたい自分」というものが形になりつつあるのだという那須院長。
人としてという面では「どんなに慌ただしい状況にあっても、その人の周りだけ時間がゆったり流れていて、温かい空気に包まれているような。そんな雰囲気をまとった人物になりたいですね。」と語る。大学時代そういう独特の空気感を持った先生に出会ったそうだ。知識も技術も「超」がつくほど高度なものを持ちながらも、一緒にいるとふんわりとした温かさを感じた。「技術的なことについて、私は今もその先生の背中を追いかけているんですが、人としても目標になるべき優れた方です。」と語る。
歯科医師としては「口腔外科手術のようなテクニカルな分野をもっと追究したいとは思いつつ、手技にモノを言わせる荒っぽい自分にはなりたくないな、と思ったりもします。高度な治療を、ゆったりとできれば一番いいのかもしれません」と、未来を見つめる。

また、那須院長は「働く環境」にも注目している。医療業界全般の傾向として、給与のシステムや残業の扱いなど、まだまだ旧態依然とした慣習や仕組みが残っているのだという。それでは人が集まらないし、安心して働き続けることができず業界全体のためにもならない。「自分ができるところからでも、業界を明るくしていきたい」と語る。
現在は地元の保育園と提携し、女性スタッフが母親になっても仕事を続けられる環境を整えているそうだ。「自前で保育園を持てれば、もっと良いんですけど。いずれにしても、スタッフが安心できる環境があれば、その安心感が患者さんにも伝わると思うんです。スタッフに無理を強いておいて、患者さんにだけ良い顔をするなんてことはできませんから。」と、職場環境の充実、向上が患者さんの喜びにもつながると意気込む。
医療法人社団三仁会 那須歯科医院院長
那須一仁
大学卒業後、埼玉県内にある歯科医院で恩師と出会い、複数院で技術を磨く。現在は、その技術力やサービスが地域に愛され、2020年に4院目を開院。
https://www.nasu-dc.com/