金融経済を読み取る
新たな教育のあり方
有限会社N教育
1994年の設立以来、本当に必要とされる学びを提供してきた有限会社N教育。特に英語教育には注力し続け、他にも読解力や思考力を鍛える講座も開講するなど幅の広い教育を実践している。信念を持って教育に身を投じてきた中澤理・代表取締役に聞いた。
幅広い教育の提供で理念を実現
「学びたい。学ばせたい。その想いを大切にしたい。」を企業理念に掲げるN教育。ただ「何を」学ばせたいか、は明記していない。それは、学ばせるべきものは時代や地域によって常に変わっていくものだからだ。中澤氏「学びたい時に生徒さんが来ていただける環境をつくることが私の使命だと感じました。実際、車で1時間かけて通ってきてくれた生徒もいました。あまりに遠いところからの通塾に申し訳なく感じ、新たな拠点を設けたこともあります」と明かす。より多くの生徒に学びを提供したいという強い思いが事業の根幹となっている。

また、教育事業を行う上で「日本の教育のアベレージを底上げすること」を信念にしている。「生きていく上で必要なものは大人も子どもも根本は同じ。長期的な目線で人々の役に立ち、影響を与え続けられる教育を整備することが重要なのです」といい、その信念を実現するため幼児から社会人まで幅広い教育を提供している。さらに、教育の本質について「生徒たちには自分自身の考えを持ち、深めていく能力を身につけさせたい。その能力の源には好奇心があると考えています。好奇心をもって『なぜ』と思うには、さまざまな経験をすることが欠かせません。多くの経験をして物事の多面的な見方を学び、何度もその過程を繰り返すことで自ら考える力や解決能力が身に付くのです」と力を込める。
新たな挑戦で教育に革新を
現在注力しているのがマネーリテラシー教育。塾内での授業の提供、マネーリテラシーの意識を上げるためのセミナーや学ぶ機会の提供、社会・経済検定実施に向けた全国規模での取り組みなどに積極的に取り組んでいる。
中澤氏が教育における革新的な取り組みを始めた背景とは。「当社で注力してきた英語教育の先にあるゴールやスキルについて考えをくすぶらせていました。英語力も確かにグローバル化された世界では役に立つスキル。ただ、英語力単体を養うのではなく、その延長線にある目的を明確にすることで、生徒たちに考える機会を与え続けられると考えた」という。
コロナ禍が起こり、世界が混乱している中「英語は世界の情勢を知るために学ぶべきものである一方、それだけではまだ足りないと思っていた際に、コロナ禍が到来した。株価をはじめ世界規模で金融が影響しあっており、世界を連動させるものの一つに金融や経済がある点に着目した」とマネーリテラシー教育を始めたきっかけを語る。
さらに、「コロナ禍中の対策・対応として一時的な補助金を出すような方法では、国がもたないのではないかと懸念したこともありました。つまり、裕福になるには、日本国内だけじゃ限界が来ている。だからこそ、世界で起こっていることに意識を向けてもらいたい。そのような状況から、次世代の未来を紡ぐ一手として、マネーリテラシー教育は有効だと考えた」という。

グローバル化が進み、日本で生活し続けるにも、世界情勢の影響は免れない中、生徒たちの視野を広げ、真の〝生きる力〟を養うためにマネーリテラシー教育に着手したという。さらに、マネーリテラシーの検定制度の立ち上げも視野に入れる。
また、「座学に留まらない実践的な教育を実現していくのが理想」と語る。「最終的には、地域の企業や学校などを巻き込んだ学びを提供し、現在子ども向けのマネーリテラシー教育を大人向けにも拡大していきたい」と理想の実現を目指す。
「マネーリテラシー教育の確立に向けて多方面に声かけしたり、全体を取りまとめることが私の役割だと思う。多くの人の思いとともに切り開いてきたものなので、この取り組みを地域だけでなく、全国に広げていきたい。さらに日本のインフラとして役割を果たし、欠かせないものになれば本望です」という。
日本の教育のアベレージを底上げするため、そして次世代の〝生きる力〟を向上させるため、中澤氏は前進を続ける。
有限会社N教育代表取締役
中澤理
都留文科大学卒業後、1993年に学習塾を開塾。英語スクールを立ち上げ、愛知県を中心に全国展開中。バイリンガル教育やインターナショナルスクール運営にも尽力。指導経験豊富で、自治体支援や学校提携事業にも関与。プログラミング教育や金融教育にも取り組んでいる
https://nakazawa-juku.com/