【大学特集】
地域に愛される大学

名古屋市立大学

名古屋市立大学は、名古屋市との強固な協力関係があり、地域に愛されている。郡健二郎理事長は「自分の力で何かを成し遂げ、貢献する経験を通じて成長してほしい」と語る。

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大学の進化と変革

名古屋市立大学は、全国トップレベルの医学部附属病院群があり、医療分野の学習環境がそろっているのが特徴です。また、設置団体である名古屋市からサポートを受けていることもあり、地域へ貢献しようとする姿勢が校風として根付いています。2023年には、日本経済新聞社の「大学の地域貢献度調査」で全国765の国公私立大学のうち本学は全国総合1位の高い評価を得ました。

 総合大学の強みを生かして、多彩なテーマで市民公開講座を開いたり、地域の人と協力してキャンパス内の畑で野菜を栽培したり、地域に親しまれている大学であると自負しています。地域の人に誇りを持ってもらうためにも、私たちは「名古屋市立」という名前にこだわりすぎず、より広い視野で世界に向けた研究や人財の輩出に取り組むことを目指しています。

名古屋市立大学は1950年、医学部と薬学部からなる公立大学として設置され、その後、1964年に経済学部、1996年に人文社会学部と芸術工学部、1999年に看護学部、2018年に総合生命理学部、そして2023年にデータサイエンス学部が設立されました。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の導入が進む世の中で需要の高い学部で、大学の進化と変革を示すものです。

また、五つある医学部附属病院は、合わせて約2200床を有しており、国公立大学では日本最大規模の附属病院群です。質の高い医療を提供するとともに、先進的な研究成果を世界に発信し、優秀な医療人材を輩出していることも強みです。

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外の世界を見る重要性

教育に携わろうと思ったのは、子供の頃、親の経済的な苦労から「教育者や研究者になるにはお金がかかる」という認識が根付いたからです。若い人たちが教育や研究に取り組む際に、経済的な支援が必要だと感じ、そのための支援を行いたいと思いました。

もう一つは、私自身には子供がおらず、教育に携わることで次世代の育成に貢献したいと考えたためです。自分が良い教育を受け、多くの良い影響を受けた経験から、他の子どもたちや家族にも同じような良い経験を提供したいという思いがあります。

現代の学生たちには、優秀で真面目な人が多い一方で、冒険心や挑戦的な姿勢が少なく、大人しい傾向があるように、感じています。私が大学生だった頃は、全国的に大学紛争と呼ばれる運動が広がり、変革を求める気持ちを持った学生が集まって、ディスカッションを通じて社会に対する意見を交わし合いました。時代は変化しているので、このような経験を現代の若い人たちに語るものではないですが、少なくとも自分で考え、チャレンジ精神を持って、アクティブに行動してほしいと思います。

また、私は若い人たちは国際的な視野を持ち、外の世界を見ることが必要であると考えています。しかし、日本は島国で、他国との交流が制約されています。評価されることばかりに縛られず、新しいことに挑戦し、失敗しても戻ることができる若い時期に、イノベーションに挑戦したり、起業したり、積極的なチャレンジをしてほしい。自分の力で何かを成し遂げ、貢献する経験を通じて成長してほしいと思います。

名古屋市立大学理事長

郡健二郎

1949年大阪府生まれ。1973年大阪大学医学部卒業、1980年医学博士。1977年近畿大学 医学部泌尿器科助手。1983年近畿大学 医学部泌尿器科講師。1993年名古屋市立大学 医学部泌尿器科教授。2001年同大学 医学部附属病院 病院長(兼任)。2005年同大学医学研究科長・医学部長(兼任)。2014年同大学 理事長・学長。2022年同大学 理事長(学長別置)

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