新しいコンセプトの
コスメショップ

株式会社N2iが新たに立ち上げた「my GAKUYA」は、ECのみで展開するコスメや美容機器のブランドに、実店舗のスペースを月額で貸し出すスタイルの体験型シェア店舗だ。運営母体である株式会社N2i取締役COOである清水氏は「オフィスに分割して入居するコワーキングスペースの小売り版のようなイメージ」という。出店するスペースを提供するだけでなく、化粧品検定1級を取得するなど、コスメの知識を持ち、ブランドの世界観などもしっかりと伝えられる販売員を同社が用意するのも特徴だ。

　元々N2iは、HRテックやITシステム開発を軸に事業を運営してきた。代表取締役CEOである篭橋氏の「１兆円企業にしたい」というビジョンの下、一つの事業を大きくしていくのではなく、多角化してさまざまなサービスを展開していきたいという方針で、やりたいプロダクトに社員が積極的に手を挙げるという社内風土を作っていた。

「my GAKUYA」は、前職が美容系だった清水氏自身が、その知見を生かした新規事業を考える中で、知る人ぞ知るといったコスメや美容アイテムが好きだったことをきっかけに生まれた。「マイナーなものだと実際に体験できる場所が少なく、オンラインの情報だけでは、価格で評価することが多く、あまり良い選択ができない。店頭で体験して、その商品のストーリーを理解できる場所を作りたい」と、固定費などの兼ね合いで実店舗を持つことが難しいECブランドが気軽に出店できるよう、初期費用なしの月額課金で、「my GAKUYA」が販売員を用意し、低コスト、低リスクで実店舗を持てるサービスを開発した。

数回のポップアップ開催を経て、ついに常設店の第１弾として2023年4月1日、ジェンダーレスコスメを中心とした、発想が新しく生まれたばかりのコスメがぜんぶ試せるお店「YOUITSU by my GAKUYA」を名古屋にオープンした。子供から高齢者まで、年齢性別問わずに使えるジェンダーレスコスメを軸に、新しい考え方や概念のコスメを中心としたあまり見かけない新しいコンセプトのブランドを集めた。出店数は約150ブランドで、オープン前から100社近いブランドの誘致が決定していた。清水氏は「ポップアップを重ね、店舗としてコンセプトをしっかりと立たせる必要があると感じたこともありますが、ジェンダーレスコスメは性別問わず支持されているブランドが多い。そういったものが好きな方が増えている、という部分にも着目しました」と語る。

「YOUITS by my GAKUYA」というネーミングは、「”YOU（あなた）＋ITS（その）＝唯一”女性性、男性性ではなく、自分の個性を追求できる「ジェンダーレス」な商品がある。様々なコンセプトの、ここにしかない商品の中からあなたの「唯一」のお気に入りを見つけて欲しい」という願いを込めたという。清水氏は「ECコスメはスタートアップも多く、世界観を伝えるのにも広告費の限界がある。実際に体験してもらって新たなファンが獲得できる店舗になれれば」と力を込める。