人助けの意識から
働く場を創出する

株式会社虹の勇者

“人と仕事を笑顔でつなぐ”をモットーに、「人助け企業」と名乗る株式会社虹の勇者。IT事業から飲食業、運送業までメンバーの好きなことを軸として、障がい者の雇用・就労支援に全力で取り組んでいる。やりがいを感じることのできる職場環境作りを原点に据え「人類の働き方の最適化」を高く掲げる益戸聡代表に聞いた。

01

多様な人々と共に歩む“勇者”に

益戸代表は、自分たちを「人助けの一団(パーティー)」だと言い切る。「昨今コンプライアンスが浸透して、労働基準法が精緻に整備され、ブラック企業は取り締まられると言った情勢下、形式だけでもホワイト化する施策はそこかしこに聞こえて来ますが、仕事の本質について、適切に再定義し、やりがいを再認識させるという側面での労働環境は、結果として麁笨化しているような肌感すらあります。僕らは、そこに焦点を合わせて、“人助け”を基礎に事業を構築していることが一番の強みです。」と口角を上げる。中でも障がい者の雇用と、就労支援に注力する虹の勇者は創業最初期より障がい者をメンバーに迎え入れ、“障がい者とチームで働くことを実践する”事業を開始した。

学生時代からボランティアや課外活動の中で、障がい者やLGBTQ当事者たちと繋がりを持ってきたという益戸代表だが、原風景は小学校時代—「同級生の弟さんが障がい者で、ご両親が学年全体参加のオリエンテーリング大会や、移動図書館と、コミュニティを股に掛ける啓蒙活動をなさっていて、地域や社会への関わりを精力的に発信していく姿を見て、その生き生きとした情熱に衝撃を覚えました。その時脳裏に焼きついた光景をきっかけに、中学校以降、障がい者の方と関わる機会が増え、将来は組織間の境を超えた交流活動が自分のフィールドワークになる予感から、卒業後の就業の場面を想像するようになりました。」と雇用・就労支援の必要性を実感していったという。

障がい者の雇用状況について益戸代表は「実態が見えないから、どんな社会的損失かも分からない、問題の理解が深まらないから、どうすればいいのか解決策も浮かんで来ない。それでも、人助けとしての一大課題。」と宿命のような使命が降ってきたと打ち明ける。その“人助け”の志は「虹の勇者」という屋号にもしっかりと刻まれている。「『虹』には障がい者やLGBTQを含めた『多様性』の意味、様々な背景を持つ人々と一緒に歩んでいく橋や門という想いを込め、『勇者』には、とにかく何があっても困難に立ち向かう、自分は勇者なんだと言い聞かせて前に出、背後を守る、という魂を冠しました。ネイティブアメリカンの『虹の戦士』という伝承にも感銘を受けています。メンバーには社名をアナウンスされると恥ずかしいから変えてほしいと言われたこともありますが、みんながそれぞれ業務で人助けをしているのだから、勇者と呼ばれることが誇らしくあるように、と勇者としての在り方を諭しています。」と回顧する。

02

メンバーの好きなことを仕事に

同社を立ち上げるまでに小売や飲食をはじめとするサービス業に、学生時代のパートタイムを含めれば合計で15年以上従事している益戸代表は、当時の実地での経験からも人助けの大切さを学んだという。「単純なオペレーションだけなら、AIやロボットで賄えますが、お客さまはコミュニケーションを伴う満足度の高いサービスを潜在的に求めています。血の通った個人的な体験や感想という情報を伝えるのも現場にはよくあることで、きれいな仕事だけではないことは言わずもがな、人助けの形も多種多様です。長時間勤務になりやすく労働環境が厳しいと思われがちなサービス業ですが、そこには数値化・可視化できないありがたさ、他には代えられない価値を提供できる達成感があります。」と自身の喜びに胸を張る。

「そういった仕事はAIには奪われない。人がやるからこその意義がある。」と断言する益戸代表は「悩みに応えるアクション一つとっても、AIができることは半分くらいじゃないでしょうか。だとすれば人間しかできない人助けは決してなくならないという確信があります。人が人であるが故に脆いところ、そこに触れたり包み込んだりするような温かみみたいなものは、おそらく未来永劫機械にはできない。人の手によってしか埋められない、形のないものを大切にすることをはっきりと認識できるような仕事や働く場所を後世に残していきたい」と瞳を潤ませる。

十人十色の個性を持ったメンバーが働きやすい永続的な環境を目指し「メンバーの好きなことを仕事にする」とIT・飲食・運送、エンターテインメントまで幅広く事業に挑戦。収益のほぼ100%をメンバーに還元することで、働きがいと当事者意識を醸成している。益戸代表は「人がつないでくれた縁を人に返す、という精神を自分から裏切らないように一瞬先の自分と約束しています。失敗は全部僕のせいでいい。でも、成功して利益が出たら、担当したメンバーで按分する。自分が率先して動いた仕事で獲得した収益が自分の給与になることがはっきり見えている。それ以上の動機づけはないでしょう。ベンチャー企業だからこそ、どうやって仕事と人を発掘するかという根本的な事案はありますが、人・財・もの・事・時間etc..各々の価値を認めることを明瞭にする、虹の勇者ならではの仕組みに賛同できるメンバーが集まればよいですね。」と”みんなと一緒に仕事がしたい”という本懐を語る空気に心が洗われる思いだ。

半生を振り返って自身が最も助けられてきた能力を「粘り強さ」だという益戸代表は、あきらめない才能でさまざまなことを実現してきたと自負するが、今後成し遂げたい目標としてスポーツ産業への参入を試みる展望を漏らす。「スタジアムを取得して、プロスポーツチーム運営と支援スタッフが一丸となって働く場所(ホーム)を創出したいですね。介護や医療との連携も視野に入れています。その先にはパラリンピックなどで活用できるような看板事業にできたら…と、自分の代で何とか叶えたい夢は無限に膨らみますね。」と、次の世代、未来を見据えて人生最後の大志を笑顔で締めくくった。

株式会社虹の勇者代表取締役・監修責任者・CEO

益戸聡

2018年12月21日"人類の働き方の最適化"を目的とした活動家集団・虹の勇者を設立。~人と仕事を笑顔でつなぐ~を原則に『遣り方』より『在り方』に注力し業務改善・再構築の支援事業を展開している。

https://les-braves-de-des-arcs-en-ciel.org/