【大学特集】
総合知で社会変革を牽引

九州大学

福岡県福岡市を中心に四つのキャンパスを有する九州大学。そこで多様な研究が行われ、その成果を基に社会への貢献を見据えた活動が展開されている。石橋達朗総長は「総合知で社会変革を牽引する大学を目指す」と語る。

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広大なキャンパスで多様な研究活動

メインキャンパスである伊都キャンパスは、東京ドームの約60個分、272ヘクタールという広大な敷地を有し、その中では、最先端の教育研究活動と研究成果を活用した実証実験が行われ、社会実装・社会展開につながっています。キャンパスには充実した施設が整備されており、中でも特筆すべきは素晴らしい図書館です。図書館は学生たちにとって重要な学術情報基盤であり、知的好奇心を満たす文献が豊富に用意されています。

本学が目指す「総合知で社会変革を牽引する大学」の実現に向け、「Kyushu University VISION 2030」を策定し、教育研究活動を展開しています。このビジョンには、多様な分野の複合・融合によって新たな価値を創造する全学的な教育の充実や、社会的課題の解決に貢献する研究の推進などを掲げており、学生たちが未来に向けて主体的に学び、活動できる環境の充実に取り組んでいます。

本学は、すべての学部1年生が履修する「基幹教育」で、異なるバックグラウンドを持つ学生が、一つのクラスで共に学び、他者と協働することを通じて、「ものの見方や考え方、学び方」を学び、課題を発見し解決するような知を備えるだけでなく、新たな知や価値を作り出すことを目標にしています。

また、本学は、自然科学系と人文社会科学系、さらにはデザインを加えた「総合知」を重要視しています。芸術工学系の教員が提供する授業科目でデザイン思考を学び、モノやコト、そしてビジョンのデザイン、戦略の構築などで広い視野を持つ力を養っています。これは将来のリーダーシップや問題解決能力の向上につながります。

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大学が未来の可能性を広げる

大学院では、学生が自分の興味関心や志向を基に、自由な研究が行える環境づくりに取り組んでいます。この自由さが、将来のスキルや、柔軟な発想力の獲得につながると考えています。私も学生時代に自由な環境を享受し、大学の魅力を感じて、医師になる夢を抱きながらも大学に残り、診療や研究、そして教育に携わることを決断しました。大学の強みは、自由な研究が可能であり、それが社会の発展をもたらす土壌となっているところです。

大学を卒業し、社会に出ると困難に直面することは避けられません。大きな壁にぶつかった時、自分の進むべき新たな方向を見つけたい時は、再び大学を訪れてもらいたいと思います。大学のリカレント教育などの活用は、自分自身を大きく飛躍させる手段として有益です。大学院や研究室で学びを深めることが、新たな知見やスキルを得るとともに、これらの経験が未来の可能性を広げ、これまでになかったキャリアの原点を見つける一助となるでしょう。

九州大学総長

石橋達朗

1949年生まれ。1975年九州大学医学部卒業。1984年南カリフォルニア大学、ドヘニー眼研究所に留学。2020年から九州大学総長。

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/