「美容医療」の未来を語ろう。
共立美容外科×Neautech
共⽴美容グループは1989年の開院以来、33年の歴史を持ち、全国に26院を展開している大手美容クリニックだ。そんな美容医療の歴史の証言者とも言える老舗クリニックが手を組んだのは、シードラウンドにも関わらず6億円という異例の資金調達を果たした気鋭の美容医療スタートアップ Neautech株式会社。美容医療の市場は4,000億円とも言われ、今後も発展余地の大きな市場だ。今後どのような形で発展していくのか。美容医療業界をリードする二人の経営者の見解を聞いてみた
スキンケアの延長線上にある美容医療
樫根:私たちが身を置いている美容医療業界の中でも、共立美容外科は高い技術力を要する外科手術を中心にこの市場をリードしてきましたよね。
久次米:ありがたいことに、父の代から長年に渡り多くの方にご愛顧頂いております。美容整形は、まるで魔法のように美貌を手に入れられる代償として様々なリスクも想像されるので、開院当時はまだまだ世間一般に浸透しているとは言い難いものでした。しかし昨今では、医療技術の発展や、欧米を中心とした機器開発の進歩や、韓国の美容医療市場の成長などの影響もあり、低価格で美容医療を気軽に受けられるようになってきて、より身近なものになったと感じます。
樫根:確かにここ5年10年で業界の流れが大きく流れが変わってきましたよね。美容医療がいわゆる外科的な施術だけではなく、スキンケアの選択肢の1つになってきたなと思います。基礎化粧品によるスキンケアや保険診療での治療効果に満足できない患者様が、自由診療による皮膚科治療に望むことが一般的になりましたね。
久次米:そうですね。ただそんな美容皮膚領域には課題があります。美容医療は魔法のようなものとも言われますが、美肌づくりは1日にしてならず。続けることが大切なので、継続的にクリニックに通って欲しいです。ただ当院のような一般的な美容皮膚科だと、どうしても継続的に通うことが難しいという課題があるんですよね。
樫根:せっかく美容クリニックに行っても継続的ないと勿体ないですよね。
久次米:1度の施術で改善されることもありますが、一般的なシミやニキビといった肌治療には完治に時間がかかります。例えばニキビ跡の治療であれば、はっきりとした効果実感を得るには最低でも3ヶ月、理想としては6ヶ月程度の期間がかかることが多いです。シミ・肝斑などの治療であれば、レーザーなどを用いた施術と内服薬も併用しながら同じくらいの期間を要することから、⻑期間に渡る継続的な治療になるので、根気が必要です。
樫根:美肌作りって、本当に長い道のりですよね。クリニックと患者様の関係構築が重要であり、患者側はこのマラソンを乗り切る金銭的な努力も必要になるので、足を踏み出せない方が多いのも事実。
久次米:クリニック側も多額のコストがかかる旨を説明して、患者様に納得してもらうという「関係構築の難しさ」が課題です。そんな課題を解決出来るのが、我々共立美容外科とNeautech社の業務提携だと考えています。この「負」さえ解決することができれば、スキンケアの延長線上に美容医療が在る「新しい時代」が作れるのではないかと。
技術提供で最高のコストパフォーマンスを実現
両社がタッグを組み、2022年1月に 池袋に創立されたのが「共立HADA LOUNGE」だ。驚くべきはそのコストパフォーマンスで、高額な治療を月々3万円〜で通うことができる。日本初となる「サブスク型美容皮膚科」の誕生だ。
久次米:共立美容外科とNeautech社がタックを組んで取り組んでいるのが、2022年1月に池袋に開業した「共立HADA LOUNGE 池袋院」です。HADA LOUNGEクリニックが美容医療業界に現れた時は、正直業界がざわつきました。驚くべきはそのコストパフォーマンスでした。
樫根:そうですね。通常都内のクリニックであれば23万円相当の肌のたるみ治療が、HADA LOUNGEクリニックでは月額4万円前後、20代の肌悩みで最も多い毛穴やニキビ治療であれば月額3万円前後でサービスが受けることが出来ます。
久次米:これは本当に美容医療業界の価格破壊とも言えます。ただ、安かろう悪かろうではなく、無駄なコストを圧縮する仕組み作りが巧みなんですよね。
樫根:ありがとうございます。まさにその通りで、その低価格治療を実現させることができたメソッドには、いくつかのポイントがあります。まず1つは、サブスクのビジネスモデルにすることで、年間で来院数を平準化し安定した来院数の確保です。コロナ禍でも経済的な打撃はほとんどありませんでした。それにより安定的な収益が見込め、月額単価を下げることを可能にしています。
2つ目は、医療DXによるコミュニケーションコストの削減です。弊社が提供する予約システム、オンラインカスタマーサポート、広告に依存しないソーシャルメディアファーストの集客施策で、集客と管理にかかるコストを極限まで削減し、その恩恵を安価な月額費で患者に還元することが可能になっています。
そして3つ目は、共立美容外科による美容医療技術の惜しみない技術供与ですね。一般的な美容皮膚科が安定した治療サービスを提供するにはそれなりの経験と運営実績が必要となります。我々のような新参者だと、なかなかそれが難しい。共立美容外科は創業来33年で培った美容皮膚科の運営マニュアルと施術ノウハウを惜しむことなく共有してくださりましたね。
久次米:今回の取り組みは、当院としても新しいチャレンジでした。このようにしてITとマーケティングに強いスタートアップであるNeautech社と、美容医療業界で長年経験を積んできた共立美容外科がタックを組んだことにより、このような新たな美容クリニックの形を作り上げることが出来たわけです。
樫根:そうですね。我々の2社がタックを組んだことにより、HADA LOUNGEクリニックでは直近1年間でのべ8,000名以上の患者が来院してくださりました。多くのリピーターが生まれ、わずか1年で人気美容皮膚科の仲間入りを果たすことができたと自負しております。ただ、美容医療業界ってまだまだ不透明なことも多いですよね。情報過多の時代において、肌悩みを解決するためには「評判がよかったものをあれもこれも試す」という遠回りをせざるを得なくなっているように思います。美肌治療に関しては、個人差が大きいので、ネットやSNSで鵜呑みした情報が自分には合わないという経験もアンケート等で多く寄せられてきましたね。私たちは「何が本当に自分に必要なのか不透明、手探りだ」といった患者を「美肌迷子」と呼んでいます。
久次米:美容や肌は不確かなことが多い領域であることは間違いないですね。正解がないというか。「なんか肌の調子がいいかもしれない」の「かもしれない」を取り除くためには、医療・科学の力が必要だと考えます。エステや一般的な化粧品とは違って、全てが確かなエビデンスに基づいたものですから。
樫根:そうですね。これからも共立HADA LOUNGEは医療の確かなエビデンスをもとに、理想的な肌の近道である「美肌への最適解」をより多くの方に提供して、一人でも多くの美肌迷子を救いたいです。
久次米:Neautechではそんな美肌迷子を救うために、新たにオンライン診療プラットフォームを活用したサービスを展開しているんですよね。
樫根:そうなんです。弊社ではクリニック事業を展開してきて、やはりクリニックだけではリーチ出来ない層が多くいることに気づきました。1つはアクセシビリティの問題です。美容クリニックヘ行けるのであれば良いのですが、時間がなくていけない、近くに適切なクリニックがない、心理的なハードルなどの課題が存在します。より多くの人の生活の中に美容医療を取り入れてほしいという想いから、我々のテックと医療のチームリソースを活かして、スマホ一つで医師の診察を受けることが出来て最短翌日には適切な美肌処方薬が自宅に届くサービスを作りました。これは、単なるお薬処方サービスではなく、「提案力・伴走力」が特徴です。丁寧な診療や肌診断、スキンケア方法などのエデュケーション、また今後は美容クリニックへの送客の仕組みも構築する予定です。現在β版のHADA LOUNGE ONLINEを運営しておりますが、2023年1月から2月の間にANS.(アンス)という新たなネーミングでサービスを正式ローンチをする予定です。(ANS.公式ホームページ)
久次米:ANS.のローンチ、心待ちにしています!美容医療においてサブスク、オンライン診療などたくさんの選択肢が出来てきて、よりユーザーの日常生活に美容医療がある世界が近づいてきましたね。今後も共に一人でも多くの人に適切な美容医療を届けるサービスを創っていきたいですね。
共立美容外科×Neautech
久次米慧人/樫根久澄
<久次米慧人>1993年 東京都出身。株式会社共立ドクターズラボ 代表取締役/医療法人社団 美人会 共立美容外科 理事。27歳で共立美容外科グループの理事に就任。 <樫根久澄>1992年愛知県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社Neautech代表取締役社長。2022年に「自分をもっと好きになれる社会を作る」というパーパスの下Neautech社を立ち上げて代表取締役に就任。
https://www.kyoritsu-biyo.clinic/