人を大切にしながら
働きやすい環境を

株式会社共英

創業当時からの建設機械のレンタル、販売事業を軸に介護事業や化粧品などのフェムテック領域と事業を拡大している株式会社共英。2015年に父親である先代から同社を受け継いだ荒井香名代表は、「人を大切にする」ことを会社の理念に、社員一人ひとりの個性を生かしながら、その成長とともに歩みを進める。

01

女性が働きやすい環境づくりを徹底

建設機械のレンタル事業から道路舗装工事や外装工事と領域を広げ、新規事業として2001年には介護事業に参入。最近では女性の健康維持を目的としたフェムテック事業にも取り組んでいる。荒井代表は「つながりがないように見えますが、急な対応が多い道路工事での経験は24時間対応の介護事業とも親和性がありました。フェムテック事業も、介護事業で利用者の方から聞く悩みを解消に導けないか、と考えたことがきっかけでした」と語る。

先代である父から2015年に事業を継承した。当初は後継者になるとは考えていなかったという。荒井代表は「出産を機に、勤めていた会社から転職したものの、最初はパート勤務でした。長年勤めている中で、個性的だけどいい人ばかりの社員たちと一緒に成長できる会社を作りたいと代表を引き受けることを決めました」と明かす。

当初、父からの指導は身内だからこそ厳しいと感じることも多かった。「何をやるにしても事細かにうるさいんですよ。それが堪えたときもありましたけど、今は言ってもらえてありがたかったと思います。人間的に尊敬できる父の姿を近くで見ながら、実践で経験を積んでいきました」と振り返る。

だが、就任当時は建設業なのに女性が社長で大丈夫なのか、という周囲の声もあったという。実際に女性だからと差別されることはほとんどなかったが、自分の子育て経験からも女性は働きづらいことを実感し、女性が働きやすい体制の整備にも取り組んだ。有給休暇を1時間単位で取得できるなど、子育てや介護を理由に退社することを避け、働き続けられる体制を作っている。

02

社員一人ひとりを大切にしながら成長をともにする

そういった女性目線での環境づくりは、性別年齢問わず働きやすい職場へと変わっていったという。そして、それは社員一人一人を大切にする社風へとつながった。「事業の幅が広いので、社員も多種多様です。だからこそ、社員にはお互いに人のいいところを見るようにと伝えています。どの業務も緊急対応が多いからなのか、人への対応もみんな臨機応変。それも当社の特徴かもしれません」と語る。

荒井代表は、トップダウンからの指示方式から社員の自主性を重視するように変えていった。「自由度が高い分、不安だと言われたこともありましたが、社員の意識も変わり、自分から判断して行動してくれるようになりました。基本的に否定から入らず、とりあえず受け止めようという姿勢なので、いいと思ったことはどんどんやってもらうようにしています。もちろんダメなところがあれば声をかけますが、それは人がいないところにしています。私が女性だからプライドを傷つけてしまうかもしれない、ということではなく“人として”の気遣いです。女性管理職が増えないという悩みもよく聞きますが、それは性別で分けているからだと個人的には思います。人として見る。その目線が大事だと考えています」と力を込める。

社員教育の面では、週に一度勉強会を開催している。先代から実施しているものだが、最近は積極的な参加が増えている。「自由参加なので、誰も来なくなったらやめようかと思っていました。新しく参加する人がいれば慣れるように配慮するなど、そういったところでも社員が人に対しての優しさを発揮してくれているように思います」と語る。

代表就任以降、社員を個人として尊重し、一人一人の個性や立場を理解することを心がけながら、事業を拡大し続けてきた。今後もその姿勢を変えず、さらなる飛躍を目指す。荒井代表は「建設業や介護事業を軸にしている以上、人材不足も避けられない問題です。それを補うためにも、外国人の人材採用や海外との連携強化に取り組む必要があると考えています。既存事業の継続はもちろんですが、フェムテック分野での新商品開発も視野に入れるなど新規事業にも挑戦したいですし、すべてにおいて人の役に立っているだろうか、という目線を常に持つようにしたいと思っています」と意欲を示す。

株式会社共英荒井香名

代表取締役社長

出産を機に、父である先代の荒井敏彦会長が創業した株式会社共英に入社。2015年、代表取締役社長に就任。建設機械のレンタル、販売、道路塗装工事から介護事業、さらに近年はフェムテック領域などのウエルネス事業まで幅広く事業を展開する。

https://kyoei1971.jp/