歯科医療×保育で
多くの人を幸せに

時和会は約10年前、呉本理事長の父が経営していた歯科医院と理事長自身の歯科医院を合併して法人化して設立された。理事長に就任後は、組織のマネジメントや若手医師の教育にも注力し、分院となるクリニックを増やしていく中で、歯科医療と保育園を結び付けた独自の取り組みを始めた。

「従来、歯並びの治療は、悪化してから行うのが一般的でした。しかし、口呼吸になっていたり、口がポカンと開いていたり、そういった子供の癖が原因となって骨格の成長が妨げられ、結果的に歯並びが悪くなるということを知りました。当時、従業員の福利厚生や患者様が治療に集中できる環境を整えるために、既に一つ目の保育園を運営していましたが、歯科医院を母体とする保育園を運営する当院ならではの特性を生かし、歯科医療と保育の融合を進めることこそが、自分の使命だと思うようになりました」と振り返る。

呉本理事長は幼少期の癖が骨格や歯並びに与える影響を早期に見抜き、適切な対策を講じることで、将来の健康や容姿に良い影響を与えると力説する。「例えば、受け口をコンプレックスに感じた結果、自信を喪失し、内向的な性格になってしまうこともあるでしょう。しかし、それを小さい頃に改善できればどうでしょうか。多くの人を悩みから解放し、幸せにしたい。それが僕の理念です」と言い、人生を変えることにもつながる幼少期からの予防医療の重要性を訴える。

運営する保育園では、歯科衛生士が定期的に訪問し、子どもたちの口腔内をチェックする仕組みを導入している。一人一人の口腔内の変化が分かるように写真を撮り、アルバムを作成しているのも特徴だ。呉本理事長は「成長や歯の具合などを見て、ここが問題になりそうだというのを保護者の方より前に僕らの方で見つけられる。必要に応じて、治療や対策を提案しているので、保護者も問題を把握してもらえ、成長記録としても満足してもらっていると思います」と語る。

「規模を拡大することよりも、地域社会への貢献をさらに深めていきたい」と語る呉本理事長は、歯科医院による保育園運営が社会貢献に直結しているという信念を持ち、その意識は、法人内の医師や衛生士などスタッフとも常に共有している。「人生の3分の１が仕事だとするなら、仕事での人間関係を楽しいと思ってほしいですし、ただ楽しいで終わるのではなく自己成長もしてほしい。当院での社会貢献への取り組みは、従業員を人ととしても成長させるものだと思います」と語る。

また、同法人のスタッフ定着率は非常に高い。「雰囲気が良好なのもありますが、昔から朝礼で道徳的な時間を設けているのも定着率につながっているのかもしれません。朝礼では、読んだ本の感想を言ってもらいますが、そういうときにネガティブなことを言う人は少ないんですね。ポジティブな言葉が意識付けにつながっているような感覚もあります」と、働きやすさや雰囲気づくりにも心を砕く。

今後は、歯科医療におけるデジタル技術やAIの導入にも積極的に取り組んでいきたいという。自動精算機や電子カルテの導入を早い段階で進め、呉本理事長自身が専門医として認定を持つ根管治療やインプラント治療でも先進的な技術を活用している。「テクノロジーを駆使しながら生産性を上げ、その結果、従業員の生活をもっと豊かにすること。それも僕の夢です」と力を込める。

保育×歯科医療に続く次の段階は「保育×管理栄養士」の取り組みだと、歯科医院としては珍しく管理栄養士の採用も始めた。将来的には、地域社会をサポートする子供食堂の運営のほか、発展途上国での教育施設の設立や、留学生の受け入れなども視野に入れている。「グローバルなことを言えばきりがありませんが、ただやっぱり今は目の前の子どもたちを幸せにしたい。小さいころに骨格がちゃんと成長すれば、容姿にも自信が持てる。高齢になっても自分の歯でご飯が食べられる。歯が痛いのを単に治すだけでなく、歯科医が人に与える影響というのは、非常に大きいと考えています。今後も歯科医療を通して幸せな人が増えるようなお手伝いを続けていきたい」と語る。呉本理事長は、歯科医療を通じて多くの人々に幸福をもたらす活動を続けていく。