生徒の可能性を導く
多様な指導法を実践
株式会社Q
北海道函館市で個別指導の学習塾を運営する株式会社Q。生徒一人一人のやる気と可能性を引き出したいと、速読など学校での授業を超えた独自の指導法を実践している。笠木誠塾長に聞いた。
やる気を引き出す個別の学習計画表
笠木塾長は2010年、大手学習塾での指導経験を生かして、「わかる、できる、おもしろい」をキャッチフレーズに塾を開いた。「『伸びる』や『上げる』という言葉をキャッチフレーズにしている塾が多いのですが、勉強でもスポーツでも、それまでできなかったことができると、自分の成長を感じて『おもしろい』と思う。その気持ちをどの生徒にも味わってほしい」という思いを込めた。
塾の一番の特徴は、生徒一人一人に対して学校と自宅学習、塾での指導を連動させた個別の学習計画表を作成していることだ。学校の授業の進捗を予想しながら、それに合わせた自宅での課題を塾側が設定するため、生徒はタイムリーに勉強することができる。笠木塾長が浪人時代、計画表を作って偏差値を急上昇させたことから採用した指導法だ。「塾に通っていると、どうしても塾でだけ勉強して、家では机に向かわないのがよくあるパターン。ですが、この計画表があれば自宅で何をどれくらいやったらいいかを的確に分かるため、自宅での勉強時間が増えたという声をよくいただきます」と、保護者からの評判は上々だという。
速読トレーニングで成績アップ
独自のアイデアを加えたさまざまな指導法で高い評価を得ているが、笠木塾長が2013年から導入した速読も特徴の一つだ。同塾は2015年に速読の全国大会団体戦で日本一となり、23年には10連覇している。また、速読力は他の分野でも通用することを示したいと、そろばんの仕組みを利用したタブレットでの暗算学習法の、そろタッチの世界大会にも参加、部門で連覇も果たした。
笠木塾長は「速読トレーニングにより脳の処理速度を上げれば、より効率的に勉強でき、成績アップにつながる」とメリットを挙げる。「レベルの高い人のプレーを見せ、共有すると脳はそれをまねようとする『可塑性』という効果と、ある一つの能力を極めると、他の部分も同時に鍛えられて追いつこうとする『汎化作用』。この二つが速読によって高まり、勉強だけでなくスポーツなど、すべての指導に役立っています」と意義を語る。
また、実際に自分の解き方を見せるという「ティーチング+ショーイング」と手法を実践しており、「今、塾業界では自主学習をメインに、先生はコーチングの立場に徹するというものが非常にはやっていますが、私は“教える”というティーチングも非常に重要だと考えています。中でも、一方的に教えるのではなく、“見て学ぶ”ことに力を入れています。こういった方法を採ると、自分はどこができていないのか、それを実感できます」と生徒のモチベーションアップにもつなげている。
地域の評判を呼び、23年4月には過去最高の生徒数となったが、さらなる生徒数増加を目指している。同塾出身の高校生や大学生が後輩たちの指導を行うほか、タブレット端末を利用したICT教材も活用。コロナ禍では、生徒や保護者とのコミュニケーションにも力を入れ、常に変化する保護者と生徒のニーズを察知、把握し、臨機応変に対応している。
「一つのやり方に固執せず、どんどん変化し続けるのが当塾の強み」と言い切る笠木塾長のベースには「本気、全力で臨む」ことがあるという。「成功しても、失敗しても全力を出せれば大満足。生徒にも『これ、本気出してないから』と負け惜しみを言うような子にはなってほしくない。『本気を出したけど負けちゃった』と前を向けるような子になってほしい。一生懸命やったことであればどんな結果であれ自分にプラスになるはず」と、生徒のやる気と可能性を導き出したいと意気込む。
株式会社Q代表取締役塾長
笠木 誠
1971年、北海道遠軽町出身。大学卒業後、大手学習塾で14年間指導した後、2010年独立し、個別指導Qを開校。独立後13年で指導に携わった人数は延べ2500人。これまでに全国から100を超える塾の講師が見学に来るなど、塾業界でも注目を集めている。
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