女性にもっと
自由なキャリアを

株式会社KHAコンサルティング株式会社

男女雇用機会均等法のない時代から、女性エンジニアの先駆けとして活躍していたKHAコンサルティングの野木秀子代表は2014年、自身の経験を元に「女性が自由にキャリアを歩める社会を作りたい」と起業した。社会で活躍する女性たちの活動を支援する野木代表に思いを聞いた。

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自らの経験を活かした支援活動を

野木代表がエンジニアとしてキャリアをスタートさせた1970年代は、男女雇用機会均等法もなく、完全な男社会で、野木代表は「女を絶対に見せない。女言葉を使わず、家族のことも話さない。女を隠して生きていた」と振り返る。

新卒で入社した大手メーカーを結婚退社した後、「ここなら子どもを産んでも働いていけるかもしれない」と小規模なIT企業に入社した。ちょうどNTTが民営化するタイミングなどが重なり、営業として大企業の案件を次々と獲得するようになり、エンジニア以外の分野でも活躍し、44歳で役員に就任した。「新卒入社の会社だったら、ここまで頑張れていなかったと思います。小規模なIT会社だったからこそ、性別関係なくできる人がやればいい、という感じで挑戦させてもらえた。大変でしたが、自分の能力を最大限に引き出してもらえたのは幸せなことでした」と話す。

だが、周りを見渡したときに自分以外の女性の管理職が少ないことに気付き、データを調べ始めた。「2003年ごろは、日本の女性管理職の割合は5%以下で、同じころのアメリカはFortune Global 500で13%くらいだったと思います。当時、アメリカの子会社の社長も兼任していましたが、日本では必ず『女性役員』と紹介されるけど、アメリカでは当たり前のことだからそういった紹介は一切ない。あまりにも日本はpoorだなと思いました。」と話す。

2014年ごろには法的な整備も整ってきたものの、順調に進んでいないのが現状だ。野木代表は「去年、講演を依頼されて改めてデータを調べたところ、女性管理職の割合はこの10年間、先進国が35%くらいなのに、日本はまだ12%程度でほとんど増えてない。野木代表は「努力義務で留まっていることと女性自身のアンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)が原因。罰則のない努力義務で企業に任せているばかりでは、進んでいかないのも当たり前。欧米はダイバーシティー(多様性)を大切にする社会だから女性の社会進出が進んだと思います。少子化対策などを検討する場が男性ばかり、というのもおかしい。実際に産むのは女性ですから、女性も一緒に考える必要があるはず。そこに参加するには、女性が持つ『女だから無理だ』というアンコンシャス・バイアスを無くすことも必要だと考えています」と説く。

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女性のネットワークづくりにも注力

野木代表は、2007年ごろから女性の活躍の場を広げるために、そのネットワークづくりを支援する「キャリア研究会」の会長も務めている。厚生労働省の「女性と仕事の未来館」で開催されたパネルディスカッションで、参加者からもっと話したいと言われ、「話を聞いていたら、女性は本当にいろいろなことで悩んでいるんだなと思い、皆さんが交流できる場所を作ろう」と研究会を立ち上げた。現在はセミナーの開催や国内外に研修旅行をするなどの活動から、社会で活躍する女性たちを支援している。

野木代表は「キャリア研究会は、女性のネットワークにしていきたい。男性は縦社会で意外といろいろなつながりがあるけど、女性にはそういったものが少ない。今は30~70代と年齢層も幅広く、業種も経営者から元校長などさまざま。参加者同士でノウハウを共有し、自信をつけてもらいたい」と力を込める。

研究会では、「ロールモデルさえいれば、アンコンシャス・バイアスも取り除けるはず。実際に活躍している女性をいろんな場面で、自然な形で目にできる機会が増えれば『自分もできるかも』『素敵だな』と思えるのではないでしょうか。自分に縛られずに、女性であることに自信を持つことが大事」と指摘。野木代表自身がロールモデルとして、講演活動など積極的に発信していきたいと意気込む。

株式会社KHAコンサルティング株式会社代表取締役

野木秀子

兵庫県出身。1971年、日立製作所システム開発研究所に入社。結婚を機に同社を退職後、日本コンピュータ研究所(現CIJ)に入社。エンジニア、営業として実績を重ね、44歳で役員に就任。副社長で定年を迎え、顧問として在籍した。業界団体役員、大学客員教授などを歴任し、2014年にKHAコンサルティング株式会社を設立。

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