英語の探求的学習で
グローバル人材育成
株式会社ジプロス
長年、学習塾を手がけ、民間人校長として学校改革に携わった経験も持つジプロスの鏑木稔代表は「「日本の教育の最大の欠点は、学校に合格するのが最終目的になっていること」といい、グローバルスキルと受験を両立させる教育事業「GLOBAL LEARNER’S INSTITUTE」を展開する。夢と志を持ち、その実現の為に世界視点で学習と進学を考えられる人材を育成したい」と語る鏑木稔代表の目指す教育改革とは……。
プロジェクトを「英語力で学ぶ」
グローバル社会に対応するため、以前から英語での探究的な学習に関心を持っていた鏑木代表は2015年、満を持してグローバルスキルと受験を両立させる教育事業「GLOBA LEARNER’S INSTITUTE(GLI)」をスタートさせた。運営する学習塾のアルバイト学生の就職相談で、「何がしたいのか、何ができるのか」が問われているのに、答えられる学生が少ないと気付いたことも契機となったという。「日本ではいわゆるグローバルスキル、21世紀型スキルを身につける教育はあまり行われていない。そういった力を付けるための新しいスクールを作るべきだと思った」と振り返る。
GLIは、“英語を使った探究的な学習”を最大の目的として、「チーターはなぜ足が速いのか」などの子供たちが興味関心を持つテーマをリサーチしたり、友だちと意見交換をしたりして、自分の考えをブラッシュアップし、プレゼンテーションするという学習スタイルだ。英語の基礎からテーマの探求まで、段階的なコースが用意されており、1年の終わりにはそれまでの学習から一番興味を持ったテーマを選んで、再度探求するプロジェクトに進んでいく。論理の展開やスライドの内容などをネーティブの先生と何度も議論を重ね、最後のプレゼンテーションデーに向けて準備を行う。「英語で学ぶ」ことで、英語力だけでなく、物事を深く探求する力や課題を解決する力、論理的思考力などを同時に養えるという。
小学生が自分の興味や関心を探るため、フィリピンの孤児院やネパールの小学校で共同学習をしたり、ハワイのNGO団体と沿岸のゴミ回収作業をして、ハワイ大学の教授に解決策を提案したりする海外のスタディーツアーも行っている。「小学生クラスでは、自分のやりたいことを発見し英語で表現できるようになることが最終の目的です。高学年になると、特に男の子は家であまり話さないので、ちゃんと勉強しているのか不安になるという保護者もいますが、最後のプレゼンテーションデーで子供たちの圧倒的なプレゼンを見ると、感激で涙しますね。子供たちもプレゼンをやり遂げた達成感から、もっと話したい、うまくなりたいと思うようになっていきます。小学生でも英語が使えれば、学びの場が世界に広がります」と語る。
学び続ける人材育てる教育改革を
同社の指針は「夢と志を持った合格者を輩出すること」。これまでの学歴主義ではなく、目標のために志望校を選んで合格する子を育てることで、探求学習を繰り返した先に、学びたいと思う学校が国内になければ、海外を含めて進路を考えるべきだという。実際、GLIでは海外の名門中学の合格者を輩出しており、海外のボーディングスクール(寄宿学校)を受験したいという問い合わせが非常に多く、保護者向けに、現在の教育や受験事情を説明する勉強会を実施したり、個別にグローバル教育や海外進学のコーディネートも実施しているという。「これまでは偏差値を上げることに投資すればリターンも大きかったと思いますが、これからは資質や能力の向上に投資する時代です。日本はこの30年間、給料が上がっておらず、今後も上昇が望めない。ならば、海外で活躍した方が単純に年収も増えるはずで、英語が話せれば投資効果が上がってくる」と説く。
現在の教育界では「マインドセット」が最先端のテーマになっているといい、「今の日本の子供たちに欠けているのはチャレンジ精神。失敗してもめげずに挑戦を続けることです」と指摘する。「失敗すら成長というオープンなマインドにマインドセットできれば、目的を実現するにはどうしたらいいかと考えるようになるので勉強は苦にならない。将来の自己実現に必要なグローバル教育と受験を一緒に設計できることが我々の強みです」と話す。
鏑木代表は、これからの日本を担う子供たちのために「教育改革を起こすこと」を目指している。「日本の教育の最大の欠点は、大学に合格するのが最終目的で、それ以上学ばないことです。それが経済のイノベーションや国力低下につながっているのではないでしょうか。大学に入って就職したら終わり、ではなく、学び続けることが大事。合格や就職が目的ではなく、自分のやりたいこと見つけ、実現できる力を養い、学び方や働き方、生き方を変容できる教育改革を起こしたい」と力を込める。
社名のジプロスには、「自分の人生を自分でプロデュースする」という意味があるという。鏑木代表は「自分の人生でリーダーシップを発揮する人は自分以外にいないのだから、敷かれたレールではなく、自分でレールを作って進んでほしい。チームワークや和を尊ぶ国民性に、論理的に自己主張できるグローバルなスキルが加われば、まだまだ日本人は世界で戦えるし、何より自分の人生を豊かで幸せなものにできる」と子供たちへ思いを語る。
株式会社ジプロス代表取締役社長
鏑木稔
1968年、群馬県出身。個別指導の学習塾を24年間経営し、22教室を展開し、生徒数2200人に拡大させる。2012年、株式会社ジプロスを設立。代表取締役に就任。神戸市夙川学院中・高校で校長兼理事として学校改革にも携わる。
https://jiproce.co.jp/