ドバイで日本を再現
挑戦は新たな段階へ
株式会社ハイトンインダストリー
不動産仲介業をコアとする株式会社ハイトンインダストリー。代表取締役の柏木大輝氏は、JWD group ANAWAK Real estate L.L.Cの日本支店代表社員も務める。日本国内に加えて、ドバイにおいても不動産事業を行う柏木氏の描く未来を伺った。
不動産業界の道を歩みつづけて
柏木氏の大学生活はコロナ禍とほぼ重なる。オンライン授業を受けながら、アルバイトに励む学生だったそうだ。さまざまなアルバイトを経験する中で、ラーメン屋で働いていた際にはコロナ禍を受け店が倒産。その出来事をきっかけに、自ら稼ぐ力の重要性を痛感したという。
転機が訪れたのは20歳の時。「まず、訪問販売の会社で働き、営業スキルを学びました。次に挑戦したのが不動産業。元々、『幸せ!ボンビーガール』というバラエティー番組がきっかけで興味を持っていたのです。そして、ある不動産会社に大学生でも雇用してもらえるか聞くと、『業務委託なら可能だ』と返ってきたため、雇ってもらいました」と振り返る。個人事業主のようにほぼ毎日稼働し、大学在学中は仕事に打ち込んだ。
不動産業の世界に足を踏み入れると、最初の関門は集客だった。「通常、集客にはお金がかかります。しかし、私は業務委託だったので、広告宣伝を行うには自分で費用を出さなければいけません。当時の私は大学生。なんとか無料でできる方法を探していた時に着目したのがSNSでした。物件の紹介動画を投稿すると、多く問い合わせをいただけるようになりました」と話す。その経験が基となり、ハイトンインダストリーには「エージェント制度」が取り入れられている。これはフリーランスの人々や個人事業主を歓迎する制度で、ストレスフリーな働き方の実現を目指す柏木氏の想いが詰め込まれている。「自分で集客をしっかり行えば、収益を上げることが可能だと一人でも多く感じていただきたい」と語る背景には、自身が試行錯誤して成功した原体験、そして従業員が成長することへの願いがある。
また、「今後は人材紹介業にも挑戦していきたい」と力強く話す。着目したきっかけは、不動産事業で出会うお客様からの声だった。「賃貸に関していえば、仕事に困っている人が意外に多いのだと気づきました。そのため問い合わせされても、審査が通らない場合も多く、就職活動をしていても実を結ばないという声も聞きますので、サポートしたいと思ったのがきっかけです」と語る。実際、昨今はテナントの仲介が多く、テナント店の人手不足により、人材紹介の需要を肌で感じているという。柏木氏にとってはまさに追い風だ。
さらに、2025年は挑戦の年にしたいと話す。「2023年の12月から見ると、経営の面でいい数字を残せたと思っています。次のステップとして考えているのが代理店展開です。例えば、人材会社さんに目を向けて、転職される方向けの紹介代理店を展開していきたいです」と説明。2025年に25歳を迎える柏木氏は節目の年で記録を残したいと語る。
ドバイに「本物の日本」を
ハイトンインダストリーを経営する一方、JWD group ANAWAK Real estateの日本支店代表社員も務める柏木氏。同社はドバイでの不動産事業をコア事業としている。ドバイに向かい現地視察した際には「大きな可能性を感じ、一目ぼれしたかのようだった」と柏木氏は形容する。砂漠の土地に建物が建ち、鉄道が敷設され、街として発展していくスピードに魅了されたのだ。
柏木氏は今後、ドバイの開発事業への参入を目指している。「建物を例に出すと、魅力も多い一方で、表面だけに留まっているケースもあります。例えば、億単位の物件にも関わらず、雨漏りが起きたり、Wi-Fiが通らないことも。つまり、内装に手が行き届いていないのです。そのため、優れた日本の技術を活用し、現地の開発に携わっていきたい」と話す。
実際、日本の要素を凝縮した街を開発する計画が動き出しているという。ドバイには世界地図をイメージした「ザ・ワールド」とよばれる人工島群があり、その中に「ジャパン島」を造り上げるという計画だ。ドバイにも寿司屋など日本食料理店はあるものの、値段が高いものでは数十万に上るケースもあり、そのような現状にも関わらず、お金を払う現地の人々を目の当たりにし、柏木氏は改めて日本の良さを実感したという。ジャパン島にまつわる構想やアイデアについて、「ドバイは砂漠の国なので、緑や自然の要素を取り入れたい。例えば、盆栽。盆栽が飾られた日本風の旅館は現地でも人気があります。また、食器など細やかな点も日本製にこだわり、本物の日本のよさを伝えていきたい」と語る。気候も文化も全く異なるドバイと日本。遥か遠くの地で日本が見られる日を目指して、柏木氏は挑戦し続ける。
株式会社ハイトンインダストリー代表取締役
柏木大輝
2023年、明星大学経営学部経営学科卒業、同年4月に株式会社ハイトンインダストリー代表取締役に就任。さらに同年11月、JWD group ANAWAK Real estate L.L.C 日本支店の代表社員に就任。
http://haitonindustry.com/