現代に不可欠となる
業務マニュアルを

株式会社フィンテックス

作業の効率化や社内コミュニケーションにおいて重要なツールである業務マニュアル。昨今ではマニュアルが存在せず、業務手順が明確化できていない企業に失望して離職する若手社員も多いという。業務マニュアル作成のアウトソーシング事業で勢いを伸ばす株式会社フィンテックスの中丸貴仁営業本部長に、その重要性を聞く。

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課題を解決する業務マニュアル作りを

元々製品やサービスにおける取扱説明書の作成のみを請け負っていたという同社だが、クライアントから業務マニュアルの作成についての問い合わせを受けたことをきっかけに、大手上場企業をはじめ、業種問わず幅広い企業の業務マニュアルの作成を手がけるようになった。中丸氏は「本来、マニュアル作りは業務の一環であるはずですが、作成や管理の方法が確立せず、現場任せになってしまっていて、誰も率先して作らないという状況が往々にしてある」と言い、業務の効率化のみならず離職率の低下にもつながる業務マニュアルの存在はもっと重要視されるべきものだと強調する。

同社には、何かしらの課題を業務マニュアルの作成で解決したいという依頼が多い。中でも新人が定着せず、若手社員がすぐに辞めてしまうために、業務の手順をマニュアル化しようと考える企業が目立つ。中丸氏は「マニュアルがないから辞めるという人が少なくない。要するに業務の正解を会社として示していないがために、上に立つ人間によって対応が異なり、そこに矛盾が生まれ離職につながっているわけです。今の若い人は、その手順に沿ってやれば怒られないという思いから、アルバイトの募集でも『マニュアル完備』とあると安心します。これまでのOJT、背中を見て覚えろといったなかで仕事をしてきた層とマニュアルの有無への意識がそもそも違っている」と言い、実際に同社が業務マニュアルを手がけた地方の百貨店では離職率が30%から8%に低下し、採用時にもマニュアル完備をアピールすることで応募が3倍になったという。

また、業務マニュアルは新人育成のためだけでなく、定年間際のベテラン社員が持つ知見のアウトプットにも有用だという。中丸氏は「そういった社員の知見を可視化することで、ベテラン社員が長年積み上げてきたノウハウが継承されずに無くなるリスクを防ぐことにつながります。そうしたリスクが顕在化する前に業務マニュアルを用意しておくこと。それが何よりも重要なことだと周知していきたい」と力を込める。

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マニュアルがない会社が評価されない時代が来る

同社では、「USER CENTERED MANUAL」をモットーに、実際にマニュアルを使うユーザーを中心に考えたコミュニケーションを追求している。あらゆる技術を駆使し、全ての人により分かりやすい言葉で伝えるマニュアル作りに力を入れている。多種多様なクライアントに合わせ、まずは丁寧なヒアリングで現状を把握し、その課題を解決するために何が必要かを検討し、マニュアルを作成していく。

「マニュアルを作ることがゴールではなく、それを使って課題を解決することがゴールとなると考えています。課題が見えていない依頼の場合も、何を解決したいのか。それを明確に定めたうえで進めていきますが、ドラフトを作ったあともフィードバックを何度もいただきます」と説明するように、かなりの時間をかけて完成に至るため、結果的にクライアントよりも業務に詳しくなっていることもよくある。「証券会社とのやり取りでは『御社が証券会社をやったらいいのに』と言われるほどでした」と振り返る。

サービス業から芸能事務所まで幅広い業種に対応できる同社の強みは何よりも、そのヒアリング能力にある。社内には、マニュアル作成に特化したマニュアルも存在するというが、中丸氏は「ただお客さまによって状況が違いますから。ベースとなるものは用意していますが、あとはそれぞれの柔軟性。今は少数精鋭ですが、来年は新卒採用も予定していますので、人材育成の面にも力を入れていきたい」と、さらなる業務拡大にも意欲を見せる。

昨今はChatGPTなどテキストを作成できるサービスも増えている。だが、業務マニュアルに関してはAI任せにはできない現状があるともいう。中丸氏は「業務マニュアルは人がどのような作業を行うかの手順とポイントを説明するもの。AIが担うには正確性が足りないのではないかと考えています。とはいえ、そういったツールの研究は当社でも続けていますので、活用していく時期が今後訪れるのではないでしょうか」と話す。

マニュアルを必要だと考える若手社員が台頭する10年後には「マニュアルがない会社が評価されない時代となるのでは」と予想する。同社では、マニュアル作成プロジェクトの立ち上げサポートなど、マニュアル作成のコンサルティング業務も請け負っている。中丸氏は「今後もより多種多様な業種・職種・業務のマニュアルを適切に作るスキルを磨き、全国の企業に『マニュアルを利用する』という文化を根付かせられれば」と意気込んでいる。

株式会社フィンテックス営業部 営業本部長

中丸貴仁

マニュアル作成に関するさまざまな顧客課題解決に従事。幅広い業界・業種の業務知識を得て「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。

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