持続可能な
水の管理に貢献する

株式会社アースアンドウォーター

アースアンドウォーターは、節水装置をレンタルで展開するという独自のビジネスモデルで企業の信頼を獲得。さらに水道光熱費削減だけでなく、CO2削減にも目を向けた独自の「サステナブル節水システムASUWO」を開発、節水によるCO2の削減量をポイントに換算して寄付する試みもスタートし、日本SDGs協会に会員企業として認定された。山中正美代表は「節水から水と共生できる環境社会を」とSDGsに取り組んでいる。

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業界の常識覆すオリジナルの節水システム

法人に向けたオリジナル節水装置の提案営業を軸にするアースアンドウォーターの設立は、2011年。山中代表は「昔は節水装置を販売したら終わり、という企業が多かった。メンテナンスやアフターフォローが必ず必要なものなのに、我々が参入した当時はそういった意識が希薄でした」と振り返る。期待した節水効果が出ているのか分からない、といった苦情も多く、あまり評判の良くなかった節水業界のバックボーンを変えたい。参入するなら生き残るためにもいい業界にしたい、という思いもあったという。

そこで、山中代表は当時買い切りが常識だった節水装置をレンタルで展開。どのくらい節水できたか、という具体的なレポートを定期的に提出することに加え、設置後のメンテナンスをセットにしたことで契約数も増え現在98.5%と高いリピート率を誇る。山中代表は「継続してレポートを出すことで、今まで見えてなかった節水量が、具体的に分かるようになった。保守メンテ含めて、これまで一切検証をしてこなかったことを見える化することで、『節水もいいものじゃないか』と、信頼を得られるようになりました」と語る。

節水のエシカルレポートと保守メンテナンスがセットになった「レンタル式」で事業規模を全国へと広げてきた同社だが、数年前から節水はCO2排出量の削減にもつながると、循環型節水管理サービスへと事業を深化させた。第三者機関となる研究所とタッグを組み、独自の計算方式から節水によるCO2削減量を算出。節水量のレポートとともに、CO2排出削減活動証明書もあわせて顧客に発行している。山中代表は「節水でCO2排出削減の証明書を出しているのは、世界でも類を見ないものでは」と胸を張る。この一連の事業を「サステナブル節水システムASUWO」と名付けた同社は、その成果を認められ日本SDGs協会の認定会員企業に。さらに、22年度には「国連 P.R.I.D.E 日本」によるSDGsアワードで、「SDGs推進ベスト企業賞」を受賞した。山中代表は「真摯(しんし)に節水に向き合ってきた結果、SDGsの目標と合致し、事業を認めてもらえてうれしかった。我々をきっかけに、節水業界の評判も上がっていけばとも思います」と笑顔を見せる。

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節水による社会貢献を広めたい

独自の節水システムで成長を続けてきたが、顧客に向けてさらに節水でのSDGsを啓発したいと、21年10月から「節水ASUWO社会貢献プロジェクト」をスタートさせた。節水で削減したCO2排出量を同社独自の「節水CO2削減ポイント」に換算し、継続的に支援団体へと寄付するものだ。山中代表は「以前は幼稚園などに水の大切さを描いた絵本を寄付したこともありましたが、節水システムASUWOでは、毎月必ずポイントが発生するので、継続的な寄付につながる。やはり継続が何よりも大事なことですから」と語る。

現在はホテルや病院、スポーツクラブ、飲食店といった法人施設を中心に導入されている節水システムを、もっと広く多くの人に知ってほしいという。「企業としては、水道光熱費の削減だけと感じるかもしれませんが、我々の節水システムを利用することで社会貢献しているんだと、胸を張って言えるようになるメリットもある。当社の節水装置は無理をして節水するものではなく、使っているときは全く分からないけど気付いたら節水していたという気安さで、無駄な水をカットしてCO2削減にもつながる。その良さに気付いていただきたい」とアピールする。

全国の各自治体や企業など官民と連携している同社は、学校関連からの問い合わせも多い。「SDGsを扱う授業の中で我々の取り組みを説明してほしいという依頼や会社見学なども増えています。節水事業は素晴らしいもの、簡単に導入できるわりに社会貢献、環境貢献につながるということを、10年後には今の数倍知ってもらえている時代になっていたらいいですね。いずれは海外でも、この技術をビジネスモデルの一つとして展開していきたい考えています。水の無駄遣いを減らすことで、水の供給を安定させる。我々がこの節水事業に取り組む意義を多くの方に知っていただきたい」と展望している。

株式会社アースアンドウォーター代表取締役

山中正美

1957年、愛知県出身。48歳のときに大手企業を退職。その後、50歳でハローワークを通じて入社した会社で“節水”に出会い、元同僚らとともに2011年に株式会社アースアンドウォーターを設立。代表取締役に就任。

https://e-water.co.jp/