日本の英語教育
その課題と未来

株式会社ブルーフレイム

「英語を教えることが天職」だと、熱い思いで英会話スクールを立ち上げた株式会社ブルーフレイムのイムラン・スィディキ代表。大学院時代から人気英会話講師だったイムラン代表だが、21年3月に小中高生を対象にした英語の個別学習塾も開校。日本が抱える英語教育の課題とその未来を聞く。

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「日本の英語教育を変えたい」と塾業界に参入

大学院時代に、さまざまな英会話教室で講師を務めたことが自分の原点だというイムラン代表は、当時のことをこう振り返る。「何人もの生徒さんから他の英会話スクールの先生と比べてレッスンがわかりやすかったと言われました。あまりにも多くの方に言われるので、他の先生はどうやって教えているんだろうと見てみたら、英語で英語を教えている人ばかりでした。英語が一言も分からないから、英語を習いに来ている人に対して、英語でのみ教えて、分からないのは生徒のせいだという風潮でした。僕は当時最先端だったは日本語を適度に入れつつ教えるスタイルだったので、日本語での解説が全くないことを有り得ないと思っていました」

大学院卒業後、大手会計事務所に就職したが、英語教育への情熱が消えず、2003年ごろから平日の夜と土曜日は英会話スクールというダブルワークをしていた。「ちょうどmixiが流行っていたころだったので、そこでコミュニティーを作りました。1年半たったところには、英会話教室の生徒数が100人になっていました。しかし、ダブルワークは体力的に無理になってきていたので、退職してスクール1本に絞ることを決めました」と言う。さらに英会話スクールだけでは最初に志した「日本の英語教育を変えたい」という想いを達成することができないと、21年3月には学習塾業界に参入した。

同社が運営するのは、小中高生を対象とした英語の個別学習塾だ。イムラン代表は「学校での授業のサポートが軸になるため、学校教育がベースになるのは仕方がないが、英語の成績がいい生徒に『話せるようになりたいの?』と聞いても、『別に』みたいな顔をする。学校の授業として英語が好きなだけだと言うので、それを超えたところで『英語を話したい』という思いを持ってほしい。塾なので成績を上げるのが一番ですが、プラスアルファとして『話せたら楽しいし、人生の選択がめちゃくちゃ増える』ところも見せていきたい」と語る。

英会話講師としてはカリスマ的な人気を誇っていたイムラン代表だが、塾講師として向き合う英語教育は全くの別物だという。「話せる、話せないは度外視で、とりあえず点数が取れるように理解させる。子供たちはできれば勉強なんてやりたくないと思っている子が半数なので、そこに『話したい』というモチベーションを持たせるのは至難の業。英会話スクールは、大人が自らの意志で「話したい!」と思って来ているので、モチベーションは既にある」と、その違いを挙げる。だが、子供たちにとって有益なのは、英語は他の教科と比べて大人になったときに強みになるということ。イムラン代表は「英語は力です。(English is Power.) 何かを極めるというと、道が限られる感じがしますが、英語は他の教科と違って確実に就職、仕事、プライベートでも活用できて、海外への道も広げてくれる。生きる力にも直結してきます。メリットが多いからこそ、子供たちには成績だけじゃないことに早く気付いてほしいのです」と訴える。

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子供の気持ちを変えていくことが大事

イムラン代表は「現在までの日本の教育は記憶重視。僕らは、小学校高学年ごろから『なぜそれが重要なのか』というQ&Aの先にあるところまで考えるような教育を受けてきています。例えば歴史のテストも選択肢ではなく記述式で、常に『なぜ?』を問われる。日本の教育は探求心を持って課題を見つけるという教え方をやっと始めたばかり。英語教育でも暗記一辺倒のやり方がマイナスな影響を与えていると思います」と語る。

 「既にある日本の教育システムを根本的に変えるのは難しいと思うので、我々学習塾など民間企業が日本の英語教育を少しずつ変えていく必要があると思います。教育ではなく子供たちの気持ちを変えていくことが大事だと今は思っています。子供たちが『英語を話したい』と思える情報を与えたいし、環境を作っていきたい。学ぶ理由、話したいと思うきっかけ作りにも注力していきたい」と前を見据える。

株式会社ブルーフレイム代表

イムラン・スィディキ

1976年生まれ。上智大学大学院時代に英会話講師を務めていた経験から、英語教育の熱が冷めず就職した会計事務所を退職。2003年にコペル英会話教室を創立。mixiコミュニティーの登録者は10万人を超え、現在自身のアプリも48万ダウンロード達成。YouTube公式チャンネルでは、ユーモアを交えながらの解説動画が人気。

http://blueflame.jp/