ITエンジニアが集う
快適な職場づくり

株式会社エーエスエル

社員が「働きたい」と感じる環境づくりを目指し、株式会社エーエスエルは2度の本社オフィス移転を行っている。「急成長する組織にふさわしい空間と、エンジニアファーストを徹底するという経営理念が移転の背景にあった」と語る平出浩太郎代表に職場環境と企業文化のあるべき姿を聞いた。

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エンジニアファーストにつながるオフィス移転

2017年に代表取締役に就任した平出代表は、2019年に本社を新橋から勝どきへと移転。そして2025年、世界貿易センタービルディング南館への本社移転に踏み切った。「前回の移転からまだ5年しかたっていないと思われるかもしれません。しかし、当時の社員数は130名ほど。それが今では500名規模にまで増えました。将来的には1000名体制を目指しています」平出代表は語る。急速な組織拡大の中で、事業スケールや企業ブランドにふさわしい拠点を整えることは必然だったという。

以前のオフィスでは、営業部、社内開発チーム、業務管理部がそれぞれ異なるフロアに分かれていたが、新拠点では全メンバーが同じフロアで働く構成に変更。これにより部署間の連携が格段に取りやすくなり、コミュニケーションの活性化にもつながっている。空間コンセプトは「木漏れ日のオフィス」。エントランスには会社の“成長”を象徴する木のオブジェが据えられている。「リラックスできるように、グリーンは多めに。社員が“戻ってきたくなる場所”を意識しています」との言葉通り、オフィスに一歩入ると木の香りに癒やされる空間が広がっていた。

昨今のリモートワークの普及を背景に、オフィスの縮小や撤退を選ぶ企業も少なくない。特に、SES(システムエンジニアリングサービス)を主軸とし、多くのエンジニアが客先で勤務する同社にとって、本社オフィスへの投資は“不要”と見なされがちだ。それでも平出代表は、本社への投資がもたらす価値を信じている。

「確かに、日常的に全社員が出社するわけではありません。それでも、本社が洗練された空間であることは、会社の“顔”としての役割を果たすだけでなく、社員のモチベーションや帰属意識にも影響します。加えて、企業イメージが良くなることで、採用にもプラスに働く。特に、優秀なバックオフィス人材の採用に、職場環境が大きく影響するのは間違いありません」

実際に、移転後は採用面でも確かな効果を感じているという。「採用がうまくいけば、管理体制の整備が効率的に進み、結果的に現場で働く社員への還元にもつながっていきます。だからこそ、短期的なコストやわかりやすいメリットではなく、会社の価値を高める長期的な投資としてオフィス環境を整えているんです」

単に“立派なオフィスを構える”のではなく、社員のパフォーマンスを最大限に引き出す土台として、空間を整える。その姿勢は、同社の企業文化とも深く結びついている。

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オールクリーンで向き合う文化を作る

「エンジニアが『働きたい』と思える会社をつくること。それが、企業の成長に直結する」と語る平出代表。モットーは、「オールクリーンで向き合うこと」だ。仕事に対しても、人に対しても、誠実であることを何より重視している。

平出代表は「代表に就任してから、より一層『誠実であること』の重要性を感じるようになりました。トップが誤魔化せば、社員もそうなる。文化というのは、時間をかけて築いてきたつもりでも、ほんの一瞬で崩れてしまうものです。だからこそ、自分の行動がその文化の土台になっているという覚悟を持つようにしています。最近では『ガバナンス』という言葉が頻繁に使われますが、文化が根付いていれば、必要以上にルールで縛らなくても済むのではないでしょうか」と語る。形式的なルール・規制よりも、日々の信頼の積み重ねが組織を強くすると考えているのだ。

こうした平出代表のスタンスは、制度設計や組織づくりにも色濃く反映されている。有休一つとっても「取りたい」と言いやすい空気があり、社員同士の間には「お互い様」という意識が自然と根付いている。エンジニアが自分の希望や志向に合った案件を自ら選べる「案件選択制度」や、部署を越えて交流できるレストランバーの設置など、社員一人ひとりの意欲や自発性を尊重する仕組みが随所に見られる。

制度そのものを整えることはもちろんだが、重要なのは“それをどう運用するか”という点だ。同社では、形式的な仕組みにとどまらず、「制度があるから使う」ではなく「信頼されているから遠慮なく使える」環境づくりに重きが置かれている。

「社員数が増えれば、それだけ案件の幅も広がり、スキルアップの機会も増えます。だからこそ、社員の『やりたい』という気持ちを尊重できる環境を整えていきたい。それが最終的に、会社の成長につながると信じています」

社員の力を信じ、真摯に向き合うこと。その姿勢は文化となって根づき、制度として形になり、日々の働く環境にも反映されている。そして今、その文化に共感する仲間が集まり、着実に会社を成長させている。そんな同社の歩みは、その信念の正しさを静かに証明し続けていると言えよう。

株式会社エーエスエル代表取締役

平出浩太郎

1975年生まれ。1999年に新卒で株式会社SI&Cに入社。SEを2年経験したのちPM職に従事。その後、経営企画室長など様々な職種を歴任。2015年10月にSI&Cが株式会社エーエスエルを子会社化した際、出向という形でエーエスエルの常務取締役に就任したのち代表取締役社長に就任。

http://www.asl.co.jp/