シニア世代の
生きがいを創出

コスモヘルス株式会社

「病気のない社会を作ること」をビジョンに、全国のショールームで電位治療器などの主力商品を紹介しながら、健康の大切さと病院に頼らない“予防医療”の考えを伝えているコスモヘルス株式会社。近年では、コスモラボというシニア世代に特化したマーケティングサービスを開始。その背景と価値について、小塚崇史代表に話を聞く。

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シニア世代の生きる目的を作りたい

元々健康を守りたい、という思いを持ち医療機器メーカーで医療機器を提供する側にいた、という小塚代表だが、それを続ける中で「医療機器を普及させても、健康意識が変わらなければ、次第に使わなくなり無駄になってしまう。国民の健康を守り、病気のない社会を作るということに本気でコミットしていないのでは」という葛藤があったという。

その思いから予防医療に着目。同社でアドバイザーを務めながら、2017年から小中高の学校で予防医療の授業を実施した。「子どものときから、病気になって病院に行くのではなく、健康は自分で守るものだ、という意識を醸成していく。そういったベースがある中で、医療機器やサプリメントなどの健康法に出合えば、それを実践し続けていくはず」という狙いがあった。だが、意識改革をしながら予防を広めていく中で、健康でいる目的も必要だと気付いたという。

特に高齢者に目的がない人が非常に多い、ということにぶつかった小塚代表は「生きがいの創造をしていきたい」と、シニア世代を対象にしたゴルフ大会を同社主催で開催。「高齢の方が夢を追いかけて、青春している姿を見せたい。そういう目的を持って生きている方々の存在を伝えたい」と、今年5月にはJリーグ 清水エスパルス公式戦で選手の入場時に「エスコートシニア」を実施。その最高齢は96歳だった。「その年齢になっても人生初めてのことができるって、すごいわくわくしますよね。楽しみになる未来があるから人生って楽しいんだと思うんですね。そういう機会を作りたい」と、それが新たに立ち上げたシニア世代に特化したマーケティングサービス、コスモラボにつながったという。

「病気にならない3原則は、運動、栄養、社会参加と言われています。社会参加こそがボケ予防、病気予防の最たるもの」だという。生きがいの創出に加え、コスモラボの活動はシニア世代の社会参加にも役立っているという。アンケートに答えたり、モニターになったり。小塚代表は「自分の声が企業の商品開発や未来のモノ作りにつながり、社会に必要とされている、自分が貢献できているという実感を持つことが健康維持につながるはず」と語る。

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日本のシニアが一番おしゃれと言われる世界に

コスモラボは、同社が40年以上にわたって築き上げた高齢者との絆がベースになっている。同社では、シニア世代を対象に全国のショールームで家庭用の医療機器を紹介しているが、全国に約150あるというショールームの1年間の来場者数は約350万人。シニアの中でも外出習慣のある、いわゆるアクティブシニアが集まっている。小塚代表は「そこが他社が提供するシニア世代マーケティングサービスとの大きな違い」だと言い、「1週間のうち半分以上、外出するという方々ばかりということは、経済活動の中にいる高齢者。そういった方々の声が欲しいと思う企業も多いですし、社会参加を求めている高齢者の声を届けることもできる。すごくwinwinだと思ったわけです」と振り返る。

小塚代表は、コスモラボの活動を通して「我々がイメージしていたシニアとは違う、と思うことが多かった」と話す。「高齢の方が週に1回以上スーパーでお総菜を購入しているというデータがありますが、その理由の第1位は『時間がない』でした。一般的な感覚では、仕事をしていないのに『時間がない?』と感じるかもしれません。しかし、社会参加をしているアクティブシニアの多くは、1日2時間以上外出することが多く、帰宅後にご飯を作るとなると、体力的にも若い頃とは異なり、手間がかかり『時間がない』と感じるのです。彼らの心の持ちようは、まだ現役世代と同じなのかもしれません。」と例を挙げ、サービスを作る側が決めつけるのではなく、そのギャップを埋める必要があり、そこにコスモラボが大きな役割を果たす、と力を込める。

高齢者向けの商品でなかったものを高齢者の声を受けてリニューアルしたところ、非常に高い売り上げを出した、という例もあり、現在では自動車や電機、製薬、食品といったメーカー各社やテレビ局など、幅広い依頼を受けている。小塚代表は「我々のショールームは全国にありますから。地方でも大きな数を母体にマーケティングできるのが大きな強み」と胸を張る。

世界でも類を見ない超高齢化社会となる日本で成功した高齢者向けのサービスは、世界で注目されるものになる。そう思うと、繊細な技術を持つ日本の中小企業がもう一度元気になる最後のチャンスでもあり、同社の健康をベースにしたマーケティング活動が社会に役立つ可能性も高い。小塚代表は「小さいころっておしゃれしたいから早く大人になりたい、と思うじゃないですか。それと同じで、未来に楽しみがある。早くシニアになりたい、と思えるようなサービスを生み出したい。いつか日本のシニアが一番おしゃれで楽しそうだよね、と世界中の人に言われるようになる世の中になればいいなと思います」と未来を見つめる。

コスモヘルス株式会社代表取締役社長 

小塚 崇史

上智大学卒業。2008年コスモヘルスグループ入社。10年以上にわたりアドバイザーとして活躍後、販売会社代表を経て2024年2月にグループ代表に就任。現役時代からの「健康の先の幸せ」を届けたいという強い想いから、PGAシニアツアーコスモヘルスカップ開催、清水エスパルス公式戦にてシニアエスコートの企画実現など、様々なPJを実現している。

https://www.cosmohealth.co.jp/