品質の追求が
高い信頼を産む

クマガイ電工株式会社

創業当初から「信頼と独創」を掲げ、時流に合わせた暮らしに役立つ商品を独自の視点と技術で生み出し続けてきたクマガイ電工株式会社。独自技術の粋を結集した自社ブランド「サンアート」商品を主力とするメーカーとしても高い評価を得ている。2代目となる熊谷康正代表は「中小企業だからこそのニッチな分野で高品質な商品を提供したい」と意気込む。

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コミュニケーションが高品質商品を生む

現在は、自社ブランド商品を主力に、BtoBの拡販は元より、BtoCへの展開を広げている同社だが、創業時は材料及び部品の供給を中心とした会社であり、アセンブリ(組み立て)からメーカーへの転換は大きな挑戦でもあった。当時、大手メーカーが必要とする部品製作の全自動化に成功し、構想力、品質向上、コストダウンには自信もあったが、商品の開発には億単位の費用がかかってくる。失敗したら会社自体が傾いてしまう恐れもあり、周囲からは反対も多かった。そこを押し切り、成功へと導いたのは「独創」と「品質重視」という同社の理念でもあったという。

最初に自社開発製品として売り出したのは、観賞魚用のヒーター&サーモスタットであり、チャレンジに至ったのは、その技術を応用した家庭用の「バス保温クリーナー」だった。発売後に新聞で記事として紹介されたこともあり、上々のスタートだったが、一般家庭では使い方もまちまちで思いもよらぬトラブルが相次いだという。熊谷代表は「間違った使い方で不具合も続出した。修理と生産に追われる中、『どんな使い方をしても正常に機能し、安心・安全に使ってもらえる『本物の商品』であるべき』という基本理念に立ち返り、根本的に商品を見直しました。その結果、全く違う発想の商品が生まれ、30年以上経った今も継承機を販売しています」と、品質重視の理念でエンドユーザーのみならず、販売店や問屋様などからも高い信頼を頂けるようになった。

創業当時から、品質に妥協を許さず、作り込み方に創意工夫を凝らしていたというが、熊谷代表は「ものづくりの企業ですから。作ったもので満足を与えることには自信を持っています」と胸を張る。品質保証を行い、さまざまな問い合わせに対応する体制づくりはもちろんのこと、エンドユーザーが満足する、愛される商品を提供するため、販売店や問屋様、また、仕入れ先などすべての取引先と友好関係を築くことにも注力する。「いい部品を入れてもらえなければ、いい商品を作れない。」と言い、仕入れ先が地元企業であればこまめな訪問を行うなど、直接コミュニケーションを取ることを大事にしている。熊谷代表は「やっぱり顔と顔をあわせないと意思疎通が図れず、共感が得られないですから。仕事と関係なさそうなお話でも、そこからいろんな話題が飛び込んでくる。それが次の商品開発につながることもあります」と語る。

コミュニケーションを大事にする姿勢は、社内においても同様だ。就任直後は創業者である父の代からの社員も多く、大先輩ばかりだったと振り返る熊谷代表だが、幼いころから工場に出入りしていた“ものづくりのサラブレッド”だったこともあり、なじむのも早かった。働きやすい環境づくりは、商品の品質を保つためにも重要だという。「今でも現場に入り、社員と一緒に部品を運ぶこともあります。家族のような職場の雰囲気でモノづくりをしているのが特徴だと思います。先代から引き続き現役で働いてくれる社員も多いですね。『やれるところまでやろう』と私が言うと喜んでやってくれます。心強いです。」と明かす。 

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中小零細企業にしかない魅力を磨いていきたい

現在同社では一般ユーザーが「こんなものが欲しかった」と思うような商品の提供を進めている。「バス保温クリーナー」のほか、ヒーター内臓ウエア&ギアなど“熱”を利用した秋から冬にかけて活用できる暮らしの快適グッズが主流となっており、今後は春から夏及び年間通して安定して提供できる商品の開発が課題だという。熊谷代表は「秋冬もので知名度も上がり、技術力、高品質、サポート力の高さから「クマガイの商品なら、、、」と信頼も大きく、ちゃんとした性能があって、その価値があるものだったら価格が多少上がっても受け入れてもらえるのではないか、と考えています。通年提供できる自社商品があれば、雇用面でも安定するでしょうし、今後も『信頼と独創』を大切に大手にできないニッチな分野に切り込んだ商品開発をしていきたい」と力を込める。

さらに、販売においては企業及び商品のブランディングにも力を入れたいという。「ものづくりは得意分野ですが、全国展開で販売するとなるとさらにパワーが必要。現在は主軸としては、カタログ通販に商品を掲載してもらうなどで販路を開拓しています」と、さらなる認知向上にも意欲を見せる。熊谷代表は「今後、外すことのできない環境への配慮を絡め、日本のみならず世界を支える次世代に残せる商品やサービスの提供を考えていきたい、という想いもあります。中小企業にしかない魅力を磨き『小さくともキラリと光る企業』を目指していきたい」と前を向く。

クマガイ電工株式会社代表取締役社長

熊谷康正

1966年、大阪府出身。大学卒業後、大手電機メーカーに就職。その後、創業者である父が立ち上げたクマガイ電工株式会社に入社。代表に就任以降は、ものづくり基盤の強化・発展から信頼のおけるモノづくり八尾の町工場における「小さな巨人」を目指し、にちや精進している。

https://www.kumagai-dk.jp/