成功のカギは
収益不動産メーカー

株式会社プレジオ

デベロッパーとゼネコン、賃料保証の特色を併せ持つ“収益不動産メーカー”として、グループ内で用地取得から企画、設計、建築、リーシング、売却、運営管理までを一気通貫して行うことで業績を伸ばしている株式会社プレジオ。リーマン・ショック期の経験を生かし、ワンストップサービスという独自のビジネス スキームを確立した上山祐平代表に思いを聞いた。

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リーマン・ショックから生まれた独自スキーム

自らを、“収益不動産メーカー”と名乗り、ワンストップサービスという独自のビジネススキームを確立した上山代表は「今後予想されるリセッション(景気後退局面)を自力で乗り越えられるように、賃貸マンションに関してはワンスキームでリーシング・運営を自社でやっている。その他の事業譲渡などは、リース業者や事業会社に委ねることで、バランスよく運営しています」と語る。だが、そのスタイルを確立するまでの道のりは平たんなものではなかった。

設立当時、上場するために全開でアクセルを踏んでいたが、直前期にリーマン・ショックの影響で約9億円の債務超過に陥った。上山代表は「不動産金融ビジネスの真上に爆弾が落ちたような感じで、損害というよりもほとんど破産に近い状態でした」という。

上山代表はその原因を「建設業を持っていなかったこと」だと分析し、同じことを二度と繰り返さないように今のワンストップサービスを生み出した。上山代表は「自分たちで物件を作る。そこが最大の変革です」と語る。そこには「自分がまいた種は自分で刈り取る」という強い思いもあった。「リーマン・ショックだからではなく、やはり自分が招いたことでした。事前に情報もあったのに、上場すれば何とかなるだろうと考えていた。非常に厳しい時代が想定される時に、しっかりと守るという意識を持っていなかったのも事実です。元々ゼロから始めたものですから、もう一度マイナス9億円から頑張って会社を安定的に運営することが、結果的にお客様のためになるという思いで向き合ってきました」と語る。

現在注力している賃貸マンションシリーズ「プレジオ」は、リーマン・ショックでの反省や教訓から生まれたものだ。「デベロップメントとコンストラクション、これは利害相反関係にあるもの。少しでも高く受けて、少しでも安く仕上げる。その差額が双方の利益になるわけですから。しかし、そういった目的で生まれたマンションは良いものが作れない。私たちは一気通貫の賃貸マンションで入居者に喜んでもらえるものを生み出すことに全力を挙げています」と力を込める。リーマンショックを乗り越え、2023年度はプレジオグループ全体での売上高529億円、経常利益110億円という過去最高の数字をたたき出したという。

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デジタルマーケティングで賃貸マンションからシニア施設まで

入居者に「誇り」を持って住んでもらえるものを生み出すことを追求している「プレジオ」シリーズのマンションは、日々の管理やメンテナンスを徹底し、建物の品質を守っているのが特徴だ。「入居者のため、というのはもちろんですが、投資のプロを相手にしていることもあり、長期にわたって運用できる不動産を生み出す。それが一番のテーマです。例えば、外装のタイル。石を使う会社が多いですが、私たちはほとんど石を使いません。石だと傷みが早くメンテナンスが大変なので、できるだけ経費をかけずに保有いただけるようなものづくりを徹底しています」と胸を張る。

賃貸マンションブランド「プレジオ」シリーズは、地域で一番高いクオリティーを目指している。「誇り」をテーマに、マンションの入居者はもちろん、マンションの作り手や所有者が誇れるマンションの開発をしているという。「賃料の高い賃貸マンションを借りてもらうには、動画が効果的なので、制作費をかけていいものを作っています」といい、約3年前からSNSなどの告知に注力するようになった。平面図や静止画だけでは伝わらないマンションの細部のこだわりを動画にしてSNSで配信し、賃貸マンションブランド「プレジオ」の確立を目指しているという。

「私たちの仕事は3年前のものが今評価される。3年前の施工の段階から多くの部屋を供給することが決まっているので、その準備を3年かけてやって、今花が咲いている感じです」と語り、数年前からデジタルマーケティングを担う制作部隊を編成。さらに、10年先の未来を考え、今は広報部門にあるそのデジタルマーケティングのチームを独立させたいと考えている。 

「デジタルマーケティングのプロになる。それが今まいている種の一つ」だといい、現在手がけているシニア施設事業にも生かそうとしている。「老人ホーム施設のコンサルティングを担う中で、『介護の三ツ星コンシェルジュ』という施設の公的な情報と一般社団法人日本シニア住宅相談員協会と共同で調査を行った本も出版し、評判を集めている。介護度によって選ぶ施設も変わり、どの施設がベストなのか。動画ならより分かりやすい。そういったシニアの分野とデジタルマーケティングを一体化することにより、10年後には収益不動産メーカー、第二の柱として大きな花が咲く事業になるんじゃないか。そのためにも社員の皆の力も借りながら歩んでいきたい」と展望している。

株式会社プレジオ代表取締役社長

上山祐平

1964年、和歌山県出身。高校卒業後、大阪のロイヤルホテルでフランス料理のコックとして勤務。その後、不動産業界へ。キンキホームやウエハラビル、サンワールドシステム、三和殖産での勤務を経て、2000年にベイシス、2008年にプレジオを設立。

https://pregio.co.jp