中小企業成長のため
ホールディングス化を

壱大ホールディングス株式会社

防災・電気・土木工事や建築資材をはじめ、管工業や船舶部品の加工製造まで取り扱う壱大ホールディングス株式会社。代表取締役社長の田村忠之・代表取締役は「ホールディングス化が長くビジネスを続けられる基盤になる」と語る。

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長くビジネスを続けられる基盤に

田村氏は社会人になって以降、さまざまな会社と関わる中で、中小企業の立場について疑問を抱えていたという。「変化できないまま目の前の仕事に追われ、衰退していくのが会社経営なのだろうか」と課題意識を持ちつつ、「中小企業の規模で、どのように戦っていけばいいのかずっと考えていたのですが、着手できなかった。ある時に、ホールディングス化の手法を知り、興味を持った」と話す。拡大していく企業もあることから、打開策があると信じていたのだ。ホールディングス化について、「社員や社員の家族のために、お金に苦しみたくないという考えが念頭にあり、会社を拡大するのも単体事業で10倍、20倍にするのではなく、事業を分けようと考えていました。そうすることで、一つの事業が傾いても他の事業で補えるという意図もありました」と語る。

田村氏は、ホールディングス化した後の統合のフェーズが一番重要で、毎回パターンが違うという。例えば、事業会社の社長が残留する場合は、今までと変わらない軸で運営できるが、社長が退任する場合は、壱大ホールディングスのメンバーが経営陣として赴き、新しい事業会社の社員とビジョンや理念を共有し、事業会社の社長たちには短期と中期の戦略を考案してもらい、田村氏とは中期のビジョンを共有し、現場のことは基本的に任せている。

事業に対する姿勢について、「時間がたつうちに、事業が会社の実力の上に成り立っているのか分からなくなることもあると思う。仕事を得ることも大事ですが、背伸びしすぎないことも大事」と語る。成長を目指すため一つの会社に無理をさせず、分担できることにホールディングス化の意味があり、目先の利益や短期的な成果にとらわれず、長くビジネスを続けられる基盤にしているという。

また、昨今の労働人口の減少について、「私たちの事業は今後も維持していく必要のある領域ですので、地域の産業を保全する拡大路線はプラスに働いたと思っています。まずは利益を上げることで力をつけて、各事業会社の地域だけではなく、日本社会に貢献していきたいです」と力を込める。

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他では見られない景色を

大阪市に本社を構えている壱大ホールディングスは、今後西日本エリアでの展開を進めていく方針だ。田村氏は「さらなる拡大を目指すのではなく、これからは『スケールさせた組織をビルドアップさせていく段階』」といい、今までの方法が通用しなくなる可能性も懸念する。そして、「選択と集中」が重要だと考え、経済情勢を考慮した上で成長する事業を見極めていく方針だ。

また、ホールディングス全体として見た時の会社の状況と、各事業会社から見える状況は違うといい、「良かれと思って取り組んでいることが本当に正しいのか、360度から見て間違いのない判断をしていきたい。遠回りが長期的視点で見た時に近道ということもあるので、各事業会社の社長とコミュニケーションを図りながら決断していきたい」と語る。

さらに、「複数の幹部から、社会人として見られるはずではなかった景色を見せてもらえていると言われます。お金やコネクションが必要なことがあれば、壱大ホールディングスだからこそできることをして、他では見られない景色を従業員に見せていきたい」と前を向く。

壱大ホールディングス株式会社代表取締役社長

田村忠之

1986年、和歌山県出身。PL学園高校卒業後、米国留学を経て阪和総合防災に入社。2020年に社長就任。同年、阪和ホールディングスを設立し、阪和総合防災、第一電機設備工業、紀和商店、瀬戸内工業所、エンスイ工業、ダイテックを子会社化。2024年、壱大ホールディングスに社名を変更。

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