若い時の挑戦が
苦難を乗り切る柔軟性を養う

横浜市立大学

神奈川県横浜市に位置する横浜市立大学。同大学初の女性学長となった相原道子学長は、大学時代の挑戦と柔軟性を学ぶことの重要性について語る。

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世界に向けた発信力と影響力のある大学を目指す

横浜市立大学は、5学部6研究科を有する総合大学ですが、学生数約5200人と比較的小規模のため、教員と学生との距離が近く、領域横断的に教育や研究に取り組めることが特長です。

専門科目の基盤となる共通教養教育の特色として、1年生の必修科目の「教養ゼミ」があり、分野の異なる2人の教員と、学部を超えた学生の横断的なメンバーがグループワーク形式で課題解決に取り組みます。さらには、情報系科目の「情報リテラシー」や、リベラルアーツの学びの入り口となる「YCUリベラルアーツ入門」を開講しています。リーダーシップ開発プログラムや起業家育成プログラムなどさまざまな領域横断型プログラムを設置し、将来のキャリア形成を視野に入れた体系的な知識を身につけられるようにしています。

グローバル教育も充実しており、留学プログラムだけでなく、海外フィールドワークや海外インターンシップの参加など、学生が実際に海外で活動できる機会を提供しています。医学部医学科では、4年次に研究室で一定期間医学研究を経験するリサーチ・クラークシップを導入しており、国内のみならず海外の研究機関を選択することも可能です。これらの取り組みを通じて、学生たちは広い視野を持ち、実践的な経験を積むことができます。

 地域社会や世界で活躍できる人材の育成だけでなく、研究力の向上も目指し、「研究の横浜市立大学」を掲げ、強みや特色のある研究を核に、研究成果の社会実装を推進しています。文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」の採択など、国の支援を積極的に受けることで、研究基盤を強化。大学が持つ研究力で地域社会にどのように貢献できるかを常に考え、地域の産業発展や課題解決に寄与するだけでなく、国際都市横浜にあることを踏まえ、世界に向けて強い発信力を持ち、大きな影響を与えられる大学を目指しています。

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人生の選択と結果を楽しむ強さを

大学入学時から、自分が今、そして将来何をやりたいのかが分かっている人はむしろ少ないと思います。大学ではそれを探し、挑戦する旅が始まります。旅の途中で興味や目標が変わっても構わないし、壁が立ちはだかった場合には、正面から挑むだけでなく、回り道しても構わないという柔軟性も大切です。若い時の挑戦は、失敗も含めてすべて人生の糧であり、無駄な経験は何もありません。社会人になってからの特に1年目は、新しい環境で課題に直面することがしばしばあるかもしれませんが、それを乗り切る精神力を養うことにもつながります。

誠実さは社会において信頼関係を築き、信用を得る基盤です。周囲の信頼を得ることで、困難な状況においても前に進む力が得られます。社会に出ると、さまざまな状況に遭遇することから、いわゆるマニュアル通りではなく、臨機応変に対応する柔軟性が必要です。一方、「やるべきことから逃げない」姿勢は周囲との信頼関係を築く上で重要です。もちろん危険なことからは逃げていいので、その意味するところは責任ある行動を取ることです。

大学時代はもちろん、社会人になってもその時々でさまざまな学びを続け、常に自己のレベルアップを目指すことは不可欠です。スキルを身につけるだけでなく、職業に関係なく教養を深めることも人生を豊かにしてくれます。人生は選択の連続であり、その決断にはそれまで身につけたものが大いに役立つと思いますので、人生の選択とその結果を楽しむ強さを身につけて下さい。

横浜市立大学学長

相原道子

1956年生まれ。 神奈川県出身。1980年横浜市立大学医学部卒業。2008年横浜市立大学附属病院皮膚科教授。2011年横浜市立大学医学部皮膚科学教授。附属病院副病院長、病院長を歴任した後、2020年4月より現職。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/