課題解決を通じた
ビジョン実現を支援

菊川代表をはじめ公認会計士の資格を持つメンバーが主体となっている同社は、財務経理や会計、コーポレートガバナンスなどのフィールドを網羅しつつ、ベンチャー企業に対するIPO支援やM&Aなど、幅広い分野でのコンサルティングサービスを提供している。

元来理系分野が得意だったことから理系の大学・大学院に進んだという菊川代表は、「金融分野はロジカルな思考がベースとして求められる」と、まずは大手の銀行に就職した。だが、当時は会計や法律に係る基礎が不足していたことを痛感し、それらを学ぶために財務や会社法、経営学、経済学などが幅広く身に付く公認会計士の資格を取得した。

「せっかく資格を取ったので、それを生かす意味で監査法人に転職し、監査業務を学び、次のキャリア形成を考えていこうと思った」と振り返るが、当時はバブル崩壊で日本の金融機関が大変な時期でもあった。「金融再編など、不良債権もドラスティックな処理を進められていたので、それに奔走していました。二度と経験できないことに会計士として携わり、やりきった感はありました」と振り返る。その達成感から一歩踏み出していこうと起業に乗り出した。「39歳で早世した父が全うできなかった人生を自分が切り開いていきたい、という思いもあり、その年齢を超えたころから、未踏の領域に入っていくんだという感覚で、父の分まで新しい分野にチャレンジしようと思った」と語る。

独立にあたっては、銀行員時代の上司の言葉にも影響を受けたという。「彼は銀行員としては非常に珍しいタイプで、最初に彼の下に就くとなったときに個室に呼ばれて開口一番『なんで銀行みたいなつまらないところに来たんだ』と言われた。また退職のあいさつに行ったときは、『おまえはもっとクリエーティブなことをやれ』と言われ、ずっと心に残っている。クリエーティブとは違う分野かもしれないが、そういった要素は失いたくない」と述懐する。

コンサルタントを主軸とする同社のキーワードは『Beyond Service. サービスのその先へ』だ。菊川代表は「前提としては質の高いサービスを提供する。その上でクライアントが抱える課題を解決するだけでなく、クライアントが掲げるビジョンを実現し、企業価値の向上につなげるというところまで、常に考えていきたい」と語る。

それを裏打ちしているのが同社の持つ高いスキルとマインドだ。「会計士やコンサルタントとしてのスキルはもちろん、多様なバックグラウンドを有するメンバーがそろっているのも強み。豊富な経験とノウハウを生かし、実務に即した支援ができる」と自負する。同時に「大手以上の付加価値の高いサービスを提供しながらも、小回りが利くこと」も同社の大きな特徴だという。「プロジェクトでは事前に決められたタスクを全うするだけでなく、全体を俯瞰（ふかん）する姿勢も忘れません。大きな案件になるほど想定外の事態やタスク化されていない課題が出てくる。プロジェクトの目的を達成するためにコミュニケーションを密にして全体の推進役となり、ある意味『球拾い』ができるのも我々の強みです」と胸を張る。

菊川代表は「国際社会では、デジタルトランスフォーメーション（DX）やカーボン・ニュートラルの実現に向けた変革が一層強まっている。これらは気候変動問題やITの活用を通じた生産性の向上など社会課題の解決や持続可能な社会の実現に欠かせないもので、さまざまなサポートが必要となってくる」という。「例えば、有価証券報告書に『サステナビリティー情報の記載欄』が新設され、2023年3月期から開示が義務化されています。また、新しいビジネスモデルの創出に挑戦するスタートアップ支援や人工知能（AI）などの技術開発への投資も欠かせません。我々も常に変化に適応していきながら、時代に即応したニーズにも対処できるように活動していきたい」と先を見据える。

将来的には、現在のBtoBだけでなくBtoCのビジネスや、今後新しくキャリアを切り開きたいと考えているプロフェッショナルたちのサポートもしていきたいという。「私自身、当初は専攻分野と異なる金融業界に進み、その後、公認会計士の資格を取得し、監査・アドバイザリー業務を経て独立開業しました。自分自身でリスキリングしながら、自らが活躍できるフィールドを開拓してきた経験を生かしながら、新しい時代に適応した人材育成や成長分野への就労移転に役立つ支援に取り組んでいくのも面白いと思います」と展望する。