板金塗装の魅力を
若い世代に伝える

株式会社BURU

少数精鋭をモットーに、横浜・川崎で、技術力を誇る乗用車の板金塗装工場「ガレージ・ブル」を運営する株式会社BURU。古川信明代表は福利厚生や働き方を工夫することで若手の板金塗装職人を増やしたいと意気込む。

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板金塗装業の魅力は自分の技術が形になること

高校卒業後、半導体の研究所に勤務していた古川代表。「勉強ができなかったわけではないのですが、早く社会に出たかった。マニュアルがあって、言われたことをやるだけの仕事ではなく、自分で考えながら仕事がしたいと感じており、そこを軸に選びました。ただ、理系の大学卒のトップが集まるようなレベルの高い会社で、ここにいたら一生アシスタントだなと考えていました」といい、全くの異業種となるアパレルの営業に転職した。

そのころ、父が板金塗装職人だったこともあり、「手に職を持って、自信を持って生きている姿にあこがれがあったのかもしれません」と板金塗装の道に進んだ。その後、カラオケボックスの店長を経て、30代で再び板金塗装業に戻り開業することになる。「研究所では大手なりの働き方、アパレルメーカーではバイヤーとしてのコミュニケーション力、店長経験ではマネジメントとお金の管理。すべてが勉強でした」と振り返る。

板金塗装業の魅力を「自分の技術が形になること」という古川代表は、「うまくないと評価されないし、堂々と作業できない。うまいと言われることが一番うれしいし、楽しい。それがずっと続いています。自分が手がけた仕事でお客さまがこんなに笑顔になるんだと、それがやりがいになっています。自分の腕が落ちたのが分かったら、経営に専念しようかなとも思っています。他の職人にはまだ負けたくないし、他の職人も『社長があれだけやっているんだから、負けられないな』と思って、いい流れが生まれている気がします」と語る。

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若い職人獲得のために働く環境を改善

古川代表を含め従業員5人と少数精鋭だが、それぞれがフル稼働してもフォローできないほど最近は発注が増えているという。「大手中古車販売会社の保険詐欺事件が大きなニュースになりましたが、その辺りから受注がかなり増えました。保険会社に任せたまま指定の工場に出すのではなく、お客さまが自分で工場を見極めている」と明かす、

中でもインターネットの検索から発注につながることが多く、「開業当初は資金がなく、できることは極力自分でやろうと考え、8年間は手作りのHPで集客をしていました。SEO対策がうまくいったのか、評判も上々でした。自分で作ったHPでいきなりビッグキーワードでYahoo!の1位を取ったときは驚きました」と語る。最近はGoogleの口コミ欄からの発注も多いという。「お客さまが僕らの仕事に対して感激して書いているものなので、信用度が高い。HPを見ずに、口コミ欄だけ見て電話した、という人もいます」と語る。

増える受注に対して、若い世代の職人を増やしたいという思いもある。きつい、汚い、危険と3Kかつ給料が安いと言われることの多い業界だが、古川代表は若い世代への技術継承を目指し、働きやすい環境作りにも注力する。「板金塗装工場では珍しい完全週休2日制を22年秋から導入しました。大手企業のように福利厚生をしっかりと整える必要がある」と、給与面など求人で重要視される部分を改善していきたいという。

また、若い世代へのアピールとして、業界のイメージを変えたいという。「昔は車を持つことがステータスでしたが、今の若い世代は車に興味を持っている人自体が少ない。『ここの社長、すごく楽しそうな仕事しているな』と思ってもらったことがきっかけになるかもしれないですし、今は『板金塗装って面白そう』と思う若い人が1人でもいたら勝ち。とにかくきっかけを作りたい」と語る。

古川代表は「挑戦を続け、縮小傾向にあるこの業界で必ず生き残りたい」といい、「技術面はもちろんですが、仕事のうえで一番大事なのは誠実さ。誠実であればあるほど技術も高まっていくと思っています。周りには誠実、自分には素直に。それを持って、腕がある限り続けていきたい」と力を込める。

株式会社BURU代表取締役

古川信明

1970年、神奈川県出身。高校卒業後、半導体研究所に入社。その後、アパレルメーカーに転職し、23歳で板金塗装業を始める。他業種でも経験を積み、36歳のときに板金塗装工場「ガレージ・ブル」を開業。2012年7月に株式会社BURUへと法人登記。代表取締役に就任。

https://garageburu.com/