日本のスピーチ力を
世界に通用させたい

Breakthrough Speaking

米ニューヨークを拠点に事業戦略コンサルタント、プロフェッショナルスピーカーとして活躍する「Breakthrough Speaking」のリップシャッツ信元夏代代表は、グローバルに活躍する日本人向けにプレゼンテーションとスピーチを指導している。「日本人の国際舞台でのプレゼンス」と語る信元代表に、日本人が世界に通用するスピーカーになるためのポイントを聞いた。

01

ネイティブでないことを武器に

カンファレンスや企業イベントなどの基調講演をするプロのスピーカーとして、ニューヨークを拠点に活躍する信元代表。日本で生まれ育ち、英語もネイティブではない女性が、最前線で活躍し続けられるのは極めてまれだという。

その要因は「専門トピックが異文化コミュニケーションでしたので、ネイティブが話すより、外国から来た私が異文化コミュニケーションについて話す方が説得力が増します。ネイティブでないことを逆に武器にして、登壇した段階で『皆さん、こんにちは』と日本語でしゃべり始めた後、『あれ伝わってない?今度は英語にしました、今度は伝わった?』と英語に切り替えると、笑いと同時に大きなうなずきが得られます。そこで『実はまだ伝わっていないんです。同じ言葉を話しているからといって本当に価値観が理解できているとは限らない。それが異文化コミュニケーションです』と話すと、冒頭から強いインパクトと気づきを引き出すことができます。」と解説する。

02

戦略コンサルタント経験が糧に

スピーチとプレゼンテーションのプログラムを提供する信元代表は、戦略コンサルタントの経験も生かしているという。「クライアントがプレゼンをしたいというときに、情報を整理する必要があります。戦略コンサルタントとして経営トップの目線で事業戦略に向き合ってきたからこそ、ビジネス的にプレゼンを分析して、改善点を提案できます。アナウンサーや俳優出身のコーチとは全く異なるアプローチです」と自信を見せる。

信元代表の信条は「誠・和・魂(せいわこん)」だという。「亡き父が大事にしていた言葉で、『誠を以(も)って人と接し、和を以ってことを計り、魂を以って志を貫く』という意味です。米国にいるとアグレッシブに見られがちですが、和の心を忘れてしまうとうまくいかなくなってしまうので、自分の原点に返ったり、考えを改めて行動したりする指針になっています。」と語る。それはプロのスピーカーとしてのベースにもなっていると話し、「スピーチをするときは一段高いところに立って、一方的に話をするのでどうしても上目線になりがちですが、本来の役目は聞いている人の学びや気づきのお手伝いをする。自分の話をきっかけにしてもらうガイド的な役割だと感じています。」と語る。

信元代表は「文化的な背景もありますが、日本人は発信力、コミュニケーション力が弱いと感じます。日本人のスピーキング力、プレゼンテーション力を高めていきたいです。そしてその先にあるのは、世界の舞台に立った時にも力を発揮できるプレゼンスです。」と語る。「話し方というと、滑舌やトーンをイメージしますが、そこに行き着くまでに引き出す必要のある部分がたくさんあります。自分の価値観を持って、自分だけが語ることのできるストーリーで、たった一つの大事な『ワンビックメッセージ』を届ける。自分らしい言葉で語ることができて、初めてプレゼンスの高いスピーカーになれる。それをサポートしていきたいです。」と力を込める。

Breakthrough Speaking代表取締役

リップシャッツ信元夏代

1972年生まれ、東京都出身。早稲田大学商学部を卒業後ニューヨークに渡り、伊藤忠インターナショナル勤務を経てニューヨーク大学でMBAを取得。マッキンゼーでコンサルティングの経験を積み、起業。国際スピーチコンテスト地区大会5連覇、TEDxTalkへの登壇などを経てプロフェッショナルスピーカーに。

https://btspeaking.com/