新しい発想の矯正
RAMPAセラピー

こどもと女性の歯科クリニック

歯を並べ直す一般的な矯正治療と違い、歯並びが悪くなる原因を根本的に解消し、歯がきれいに生えるような土台に整え直す顎顔面口腔育成療法「RAMPA(ランパ)セラピー」の専門医院である「こどもと女性の歯科クリニック」。岡井有子院長に「RAMPAセラピー」の可能性を聞いた。

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上あごの骨のゆがみの解消を目指す矯正法

現在、歯列矯正といえば、歯にブラケットを装着する治療やマウスピースによる治療が一般的だが、歯列の乱れの根本的原因に着目し、骨格の改善から歯列にアプローチする矯正治療が「RAMPAセラピー」だ。RAMPAセラピーは上あごの骨のゆがみで正しい位置に生えることができなかった歯を、ゆがみを解消することで土台から整え直し、本来の正しい位置に並ぶスペースを確保して、歯列を矯正する方法だ。さらにその目的や効果は、歯列の問題にとどまらず、鼻腔(びくう)や気道が広がることで、鼻閉(びへい)やぜんそく、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器系疾患への効果が見込まれるという。

歯列の問題も一部の呼吸器疾患も、原因はいずれも同じ「上あごの骨の発達の問題」と言える場合が多いそうだ。人体はさまざまな器官が連動しており、この骨格の発達不良が及ぼす影響が、人それぞれで異なる可能性もあり、斜視や発達障害に効果が見られた例もあるという。岡井院長はこの治療の一番の課題は認知度の低さだと考えている。「上あごの骨の発達の問題は、決して特殊な問題ではなく、乳児期からの成長過程で、どの子にも起こりえることなのです。その主たる原因が、舌が上あごにつかないこと、つまり口呼吸といえるからです。」と指摘する。現在は耳鼻科や小児科の医師と一緒にデータ収集を行っており、「今後は眼科や脳外科の医師とも連携して、論文や学会発表も行っていきます」と意気込む。

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医科と歯科の垣根を越え患者の健康願う

岡井院長は、「RAMPAセラピー」と並行して、そうした治療が必要にならないように、より良い抱っこの仕方や抱っこひもの使い方、正しい授乳姿勢などの指導を通じて、乳児期からの予防に取り組んでいる。「RAMPAセラピーで伝えていることを裏返せば、本来あるべき骨格が健全に成長していれば、歯並びや鼻腔、気道に関わる問題の多くはなかったか、もしくはそう深刻にはならなかったかもしれない」という。元々、産婦人科の看護師だった岡井院長には医科や歯科という垣根がなく、「できることは何でもやってあげたらいい」と話す。

また、岡井院長は子供たちのかみ合わせについて危機感を感じているという。近年、上あごが落ちて、かみ合わせが深い「過蓋咬合(かがいこうごう)」が増えているといい、「今後は無呼吸の子供が増えていくのではないかと危惧しています。今は子供の成長にとって薦められない赤ちゃんグッズもありますので、お口を通じて、子供たちを健全に育てるための活動もしています」と警鐘を鳴らす。医科と歯科の垣根を越えて、“患者ファースト”で取り組む岡井院長は、一人でも多くの患者の健康を願っている。

こどもと女性の歯科クリニック院長

岡井 有子

1974年生まれ。看護師として産婦人科勤務を経て、大阪歯科大学入学。同大学大学院歯学研究科(小児歯科学専攻)修了。一般歯科医院勤務を経て、2017年、「こどもと女性の歯科クリニック」を開業。

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