素材の持つ力で
SDGsの先駆け

パワフル健康食品株式会社

長野県を拠点にするパワフル健康食品は、機能性の茸をはじめ、地元農産物(トマト)を使ったサプリメントを開発するなど、自然のものを原料にした商品開発に取り組んでいる。「世の中の健康をサポートしたいと研究開発していたことがSDGsだった」という中田福佳代表に開発への思いを聞いた。

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農家を助けて世の中の健康をサポート

 トマトの生産量が多い長野県では、契約以外のトマトの出荷や消費で悩んでいる農家が多いという。農協の技術員でトマトの栽培指導をしていた経験がある中田代表は「美味しいトマトが市場に出ず廃棄されるのは勿体ない。同じ値段で買い上げれば農家も助かる。それを商品化できれば、世の中の健康をサポートすることにもつながる。何よりSDGsだ」と考え、サプリメント開発のプロジェクトを立ち上げ、乳酸菌を使った発酵技術も特許を取得した。

過去にも農作物を使った商品開発を手がけてきた中田代表は、「乳酸菌でトマトのうまみ、その成分をより引き出すことができないか」と模索し、地元信濃町や長野県のトマトを乳酸菌で発酵させることにした。生きた乳酸菌でトマトを発酵させるため、開発段階では温度や湿度などの発酵する条件の設定に苦労しながらも、エキスを手軽に食べられるようゼリータイプにして、約1年かけて商品化に成功した。当初は一般食品として市場に出すことも考えていたというが、乳酸菌発酵トマトだけでなく、健康美容素材も配合することで、1本に1000億個の乳酸菌が入っていることを売りにした健康食品として市場に出している。東京・銀座にある長野県のアンテナショップでの展示会では「手軽なゼリータイプなので、野菜やトマトが嫌いという子供も気楽に食べられる」と好評を得たという。

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地元食材を使った商品開発で地域貢献

中田代表は農協に勤めながら、学びを深めたいと再び大学に入学した異色のキャリアを持つ。そこで発がん性のある添加物を含んだ食品を問題視していた教授と出会い、健康食品に興味を持つようになったという。「食品を身体の中に入れた時にどんな影響を及ぼすのか」を強く意識するようになったのも、この時からだ。
「おいしく食べられて、健康に寄与できるものを作り、何らかの形で人に喜ばれる事業がしたい」。そうした思いを形にするため、1980年に起業に至った。しいたけ事業からスタートし、霊芝の栽培やOEM事業、健康食品の開発に至るまで幅広く事業を手がけてきたが、創業時に抱いた熱意は今も変わらない。

 コロナ禍の影響もあり、人々の関心がより健康に集まるようになった現代。中田代表は「自然のものを食べることは免疫を上げることにつながるといわれますが、多くの日本人が自然のものより、手軽に食べられるものばかりに偏ってしまっていると感じます。食生活の変化に目を向け、このままではいけないということを啓蒙していかなければいけない」と危機感を募らせる。

今後については、「より自然に回帰していく時代になるだろう」と予想し、「そのためにも健康にいいといわれる旬のものを土台にしながら、自然のものを原料にした商品開発に注力していきたい」と意気込む。

また、同社では地域貢献にも力を入れており、「信濃町の新名所にしよう」と自社工場のまわりの荒れた山の木々を整備し、社員全員で桜の木を100本植樹するなど、地域に根づく活動には積極的に関わるようにしてきた。

「自然が豊かになれば、心も豊かになる。長野県を笑顔が生まれる場所にしたいという気持ちで、地元の食材の可能性も広げられるように、積極性と向上心を持って商品を開発していきたい」と話す中田代表。幅広い角度から社会や地域に貢献できる企業として、さらなる挑戦を続ける。

パワフル健康食品株式会社代表取締役

中田福佳

1949年、長野県出身。1969年、長野県農業大学を卒業後、農協に入社。農協技術員やきのこ専門技術員としてで農家に技術指導を行う。働きながら法政大学を1979年に卒業。農協を退職して1980年、パワフル健康食品株式会社を設立。

https://www.pawafuru.co.jp